私が愛した官僚たち

官僚というのは事あるごとに槍玉に挙げられる人たちである。ただやっていることのほとんどは槍玉にあげられても仕方のないことだからしょうがないこともしょうがない。しかし官僚の中には非常に侠気もあり、日本のために身を削りながら働く官僚もいることは確かである。とりわけそういう人は若い世代に多いが、階級競争が激しいせいかそういった人たちが真っ先に第一線から身を引き、民間会社に移るなどのいわゆる「天下り」や大学の教授、あるいはノウハウを生かして国会議員になる人もいれば、中には昔の職業と関係のない俳優をやっている元国交省官僚もいる(誰とは言わないが)。

本書は官僚についてのリポートを寄稿するライターがありのままの現・元問わずの官僚を描いている。本書では数多くの官僚が描かれているが、とりわけ目についたのが官僚から政治家に転身した人が多い。当選した人もいれば中には落選した人もおり、元官僚でありながら落選した人の地道さというのをひしひしと伝わる場面もあり、官僚とはいえど一度「落選」という地に落ちた者が這い上がる姿はおそらく次の選挙ではやってくれる(当選してくれる)だろうという感じさえもした。とはいえ官僚の世界で育ってきた人たち。当然庶民の感覚とのかい離があるのは否めない。そこをどのように埋めていくのかというのが元官僚たちへの課題ではなかろうか。