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2008年11月

文明開化失われた風俗

「ザンギリ頭を 叩いてみれば 文明開化の 音がする」 明治時代の文明開化を象徴する非常に有名な都都逸(どどいつ:七・七・七・五の音数律で歌われるものであり、江戸時代末期に誕生した)である。 1853年にペリーが浦賀沖に来航したことをきっかけに明治維新への潮流が巻き起こり、その一方で様々な外国文化が日本に入ってきた。とりわけ文明開化の時代では「牛鍋」というのが大流行した。江戸時代まではこういった「肉 […]

わしズム 2008年 11/29号

まずこのアイヌ問題が取り上げられた理由が2つある。ひとつは中山元国交相の「単一民族」発言。もう一つは今年の6月6日に「アイヌ先住民族決議」が衆参両院で全会一致で採決された。しかしこれでよかったのだろうかという疑いは残る。「SAPIO」でアイヌが取り上げられたことに感化し、そしてこの「わしズム」を書評するに至った。 今回取り上げるのはアイヌにまつわることだけなので後半に関しては一切取り上げない。 さ […]

日中戦争下の日本

日中戦争は1938年に開戦となったが、開戦当時は早急に終わると政府や軍も簡単に思ってしまっていた。しかし蒋介石率いる中国国民党はアメリカを始め欧州からの武器と資金の援助により泥沼化させ、最終的には勝利を収めた。ちなみにこの日中戦争までの道のりは国民の世論は開戦が大多数であった。しかし戦争が泥沼化し始めると政府の首脳陣への批判が後を絶たなかった。敗戦後はあたかも自分は平和主義者のように開戦をした人た […]

地域の社会学

昔は「地域」というのを意識しなくてもそこには必ず「コミュニティ(世間体)」というのがあった。その中で地域間で情報交換を行い、子供を育てることでそれをより強固にすることが可能であった。しかしこの「地域」や「コミュニティ」も核家族化、そして他人の興味が薄れてきたことにより薄くなっていった。本書はこういった地域について学問的に勉強していく人たちへの教科書として位置づけられている。 第1部「地域を考える」 […]

図説吉原入門

当ブログは「蔵前トラックⅡ」であるが、落語の演目から取っているため、今回の書評は落語の演目にある吉原について紹介する。 落語の世界でも「吉原」は多く扱われており、「明烏」「お見立て」「紺屋高尾」がその最たる例である。その吉原は現在の台東区千束3丁目・4丁目のことを表しているが、ちなみにここは日本日のソープランド街として有名であり、今でも「吉原」の名残が残っている。ちなみに吉原のほかに品川もかつては […]

日本は財政危機ではない!

表題からして衝撃的である。 本書は日本の財政についてを明かしている。まず先に日本の借金は約850兆円以上ある。しかし高橋氏に言わせれば財政危機ではないと主張している。その理由の一つに「埋蔵金」が隠されていること、そのほかには財務省が行っている数字のレトリックがあるという。元財務省官僚である高橋氏だからでこそ語れることがたくさん書かれている。 序章「「日本は財政危機」の嘘」 現在日本は未曾有の大赤字 […]

タイミングをつかみとる人、はずす人 ―最良の「タイミング」がわかる22の実践場面

企業に生きる人に限らず、コミュニケーションや仕事上の決断を行うときにもタイミングというのはつき物である。でもそのタイミングを察知していけるのかという本は残念ながら少ないというのが現状である。本書はそのタイミングを掴み取る術について書かれている。 全部で22の方法あるが全部羅列すると、 「挨拶のタイミング」 「ほめるタイミング」 「叱る&フォローするタイミング」 「誤るタイミング」 「声がけをするタ […]

差別禁止法の新展開―ダイヴァーシティの実現を目指して

日本には「男女雇用機会均等法」をはじめ、差別を禁止するという法律が多々存在する。さらに差別の撤廃を訴える学会や運動団体というのも世界中に山ほどある。 ではなぜ差別というのが起こるのだろうか、本書の表題のように差別禁止法を展開できれば差別のない社会ができるのか。差別のない社会は果たして「幸せ」なのだろうか。本書を読んでいると中に去来した考えである。 第1部は序論であるが、ここでは今日起こっている様々 […]

私のなかのよき日本―台湾駐日代表夫人の回想五十年

日本統治時代の台湾を知っている人は今どれくらいいるのだろうか。 台湾にとって日本人というのは2つの意味合いを持っている。ひとつは上記の統治時代により、「日本精神(リップンチェンチン)」を教わったことへの感謝の念と、日本文化への憧れ。もう一つ、これは戦後中国から渡ってきた台湾人のことだが(いわゆる「外省人」と呼ばれる人々)、彼らは日本は憎悪の的として見ている。実は彼らは日中戦争や国共内乱の時に国民党 […]

痴漢冤罪の恐怖―「疑わしきは有罪」なのか?

日本で最も多い冤罪事件というと痴漢である。しかも痴漢の立証責任は被害者やその周りの証言ばかりが取り上げられることが多い(状況判断によりソフトを使ってシミュレーションというのもあるがいかんせんこれが高いという)。痴漢は当然取り締まらなければならない一方で、援助交際まがいにわざと痴漢を誘導させ、逮捕されなければカネよこせという人もいたり、こういった痴漢冤罪を逆手に取り示談金を荒稼ぎするようなグループも […]