品川に100人のおばちゃん見ーっけ!―みんなで子育てまちづくり

東京都品川区にあるふれあいの家「おばちゃんち」ついて迫っている。この頃少子化や孤立化によって地域コミュニティが珍しくなっている。本書ではこの品川区において子供や趣味によってそれらのつながりを持つ人たちにスポットを当てている。

第1章「人が人を結び、人が町模様を編む」
人と人とが結ぶことのできるところが品川にはある。それが「おばちゃんち」である。母親同士が互いに子育て等についての情報交換を行ったり、ときには実際の子育てで助け合うこともできる。江戸時代には地域ぐるみで子育てを行った風習がある。地域同士が疎遠となったと叫ばれているが、会を立ち上げることによることにより、その色というのはまだまだ消えていない証拠だろう。

第2章「「子ども」「子育て」でつながるおばちゃんたち」
第3章「仲間がいるから一人ひとりが元気」
第4章「子供が育つ、人が育つ、街が育つ」
「おばちゃんち」では子育てを行いながら主婦として、母親としてどうあるべきかの勉強会も行っている。地域ぐるみでの子育て、と母親としての育成の両方を担っている。ここでは各々ある「主婦の知恵」というのを交換・共有し合う場所としてこの「おばちゃんち」というのがある。「おばちゃんち」というのも様々な団体が派生してできている、例えて挙げると、

「しながわチャイルドライン」
「品川子供劇場」
「お産バンザイ」

子育てばかりではなく、お産や預かりあい、交流と言ったところまで様々な組織がある。これらの章で取り上げたのはごく一部であるが、紹介しきれなかった部分も含めて巻末にラインナップしてあるので、品川に住んでいて子育て等に困っているお母様がいらっしゃったら是非見ていただきたいものである。人と会うものだけではなく情報誌やポータルサイトもあるのでまずはそこからといってもいいだろう。

終章「「みんなで子育て」の街づくりのために」
本書を見ると品川はおそらく子育てや母親の交流がもっとも盛んと言える。本書で取り上げたからという短絡的な理由に過ぎないが、こういったコミュニティというのが品川のみならず、東京、関東、そして日本全国にわたったら、国が「少子化対策」するまでもなく母親たちの力でその問題を解決できると言ってもいい。最近は子供を育てられない親や子供を甘やかしすぎる親が多い。子育てをしたらいいのか分からずにそのまま放っておくというのは生んだ親として最低なことである。それに皆が皆最初から子育てや主婦業が上手いわけではない。数多くの試行錯誤とほかの主婦との交流によって形成されていった。そう考えると母親の役割を学ぶためにまず何をすればいいのかというのはこういった交流会に行くこと、そうでなくともお互いに学ぼうという仲間をつくること、そのことによってお互いに協力をして子育てをすることではないだろうか。日本の集団意識は今では悪い意味として捉えがちになっている。しかし上記のような集団意識は知識やノウハウ、といった観点や認識の観点から非常にいい意味での意識であると私は思う。