迷ったときの聖書活用術

聖書と言うとキリスト教の聖典であるので信仰のない人にとってはかなりとっつきにくい。しかし本書の表紙を一つめくったところにこう書かれていた。

「聖書は元祖・ビジネス書」

私の思考回路がパンクしそうになった。もしくは著者の思考回路が本書を書いている時点でおかしくなったんじゃないかさえ思った。どれだけ驚きの一文だったことか。
ただ本書を読んでいくうちにこのことは間違いではないということに気付く。では中身に入っていく。

一章「ビジネスの根本に聖書の思想」
巷でよく見るビジネス書では方法論から、精神論に至るまで、そしてピンからキリまで存在する。その方法や格言などをなぜという具合に落とし込んでいくと行き着くのはどれも「思想」もしくは「宗教」になる。この「思想」や「宗教」にはまることとしては「貧・病・争(貧しい時・病に冒されている時・戦争によるもの)」がある。そう考えると今日のビジネス書ブームというのは時間や仲間、金的な貧乏によるものではと言う考えが出てくる。本書の話に戻す。ビジネスと聖書は深い仲であるとされ、社会学者マックス・ウェーバーの「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」にその関連性について書かれている。しかし日本は欧米のようにビジネスはもたれ度も「心」、信仰心、思想が置き去りにされた。

二章「聖書・意外な素顔」
ここでは聖書の素顔について迫っている。「目には目を」「歯には歯を」で有名なハンブラビ法典だが、この意味は「復讐の容認・奨励」という意味と捉えがちだが前後には「牛が人をついて殺した時はその牛も殺される」というのがあるが私自身この一文を知ったのは初めてである。それだけではなく聖書には様々なことが書かれておりビジネスのヒントになるほか、まるで滑稽なものから、しみじみとしたものまであるという。

三章「自分のための危機管理」
危機管理というと、すぐに言えるのは「地震、雷、火事、おやじ」であるが、社会の中ではそれに加えて、「不況、リストラ、病、社長」と言ったものだろう。それに対する危機管理も大切だが、ここでは聖書と関係はあるにしても、それほど取り上げられていなかったように思える。危機管理は具体論が多いので宗教や思想は入り込めないと考えると無理もない。

四章「古代からのメッセージ」
聖書には2種類ある。「旧約聖書」と「新約聖書」である。旧約聖書は「ユダヤ教」の聖典でもあるが、主に「規律」というものを重んじる聖書である(「十戒」が有名)。一方新約聖書は「愛」や赦しというものが強い。ここには聖書にまつわる様々なことについて書かれているため、キリスト教など宗教にあまり勉強していなければついていけない所である。

五章「聖書で壁を破る」
最初に出てくるのが「言葉は生きもの」である。これは全くと言ってその通りとしか言いようがない。特にこういった文字として出てくるのであればなおさらである。使い方によっては人を高揚させ、傷つけ、悲しませ、喜ばせることができる。しかも言葉ほど感情を表させるものはない。ここの部分が非常に印象的であった。

六章「生き抜く勇気」
ここではイエスの弟子たちのエピソードについて書かれている。逆説的でもなく、あくまで史実について書かれていると言ってもいい。

宗教は人生において何らかの施しを与える。それは家庭においても、ビジネスの場においても、人生においてもである。本書は宗教からビジネスに役に立つヒントを提唱している。こういったアプローチもまた、ビジネスの上で大事なヒントとなるだろう。