「アメージング・グレース」物語―ゴスペルに秘められた元奴隷商人の自伝

アメージング・グレースという曲は誰でも一度は聞いたことがあるだろう。一応CDもいかに挙げておいて見た。

アメージング・グレースと言うのは歌詞が非常に素朴であるが、前向きになれる気持ちになる歌詞である。実はこのアメージング・グレースのかしは元奴隷商人が書いたものであることはご存じだろうか。本書はこの元奴隷商人の自伝を綴っている。

第1部 名曲「アメージング・グレース」秘話
誰もが一度は聞き、一度は口ずさんだ「アメージング・グレース」。作詞者はイギリス人のジョン・ニュートンであり、この歌は黒人奴隷貿易船において荒氏にあったが心の底から神に祈ったことで難を逃れたこと、そして黒人奴隷貿易にかかわったという贖罪意識から作ったとされている。
ではなぜ彼はこの讃美歌を「アメージング・グレース」と名付けたのか。そもそも直訳してみたら「Amazing(驚嘆するほどの)」「grace(神の恵み)」を合わせたものである。本書では黒人奴隷貿易に関わりが強いとされている。私は前述のかかわりの中でとりわけ荒氏での神への願いによって難を逃れた思いからその歌詞になったのだろうと思う。

第2部『物語』
ジョン・ニュートンの「物語」は1764年に出版した。
本のタイトルに書かれている「自伝」がここにあたり、手紙形式となっており全部で14通ある。その14通それぞれが自分生い立ちを区切ってつづられている。この「物語」が書かれたのは牧師になってしばらくしてからのことであろう。激しい贖罪意識が翻訳された自伝の中にありありと表現されているのだから。

第3部『その後のジョン・ニュートン』
ここでは自伝「物語」が出版された後のことについてニュートンが書かれた作品をもとに考察を行っている。

第4部『奴隷貿易についての考察』
さて「アメージング・グレース」を作詞したジョン・ニュートンは奴隷貿易商であったが、この奴隷貿易がどうであったのかというのをジョン・ニュートン自身が論文にして発表したものである。本書はその翻訳版であるが奴隷貿易の現状について重要な文献とも言える。

本書は「アメージング・グレース」から今となってはとても考えられない奴隷貿易についての考察も行っている。奴隷貿易に手を染め、荒氏にあったが神への祈りによって救われ、聖職者となった。もしもはじめて出版された時には一体どのような反応であったのかというのが知ることができたらとも思った。

「アメージング・グレース」は今この時でも誰かが口ずさんでいる。そしてTVやCDなどで聞く。これまでも、そしてこれからもずっと続く神への感謝の歌。