日本神話とアンパンマン

日本神話を考察するにあたりこれほどユニークなものはなかった。
日本神話と言うと「古事記」や「日本書記」の書物から出てきたものであるが、それを「それいけ! アンパンマン」のアンパンマンワールドと関係があるというのを考察した1冊である。一見馬鹿らしく思えるが、読んでみると驚くほど関連性が見つかる。「新発見」と言うのはまさにこのことだろうか。

「前口上」
「日本神話」を読み解くとなると当然「神話入門」や「古事記入門」「日本書記入門」と言ったものを読むだろう。だがアンパンマンとの関連付けをしてみる。子供のころはいつも見ていたであろうアンパンマン(少なくとも私はそうだった)。それと関連付ければこれ以上わかりやすいものはない。「善は急げ」ということで早速中身に入っていく。

第一話「『古事記』神話と『それいけ! アンパンマン』の登場人物」
「古事記」に出てくる登場人物と「アンパンマン」に出てくる登場人物を関連付けている。ドラマのキャストのようにして並べてみると(pp.36-37・41より)、

アマテラス → ジャムおじさん
神武天皇 → アンパンマン
スサノヲ → バイキンマン
オホクニヌシ → ドキンちゃん
イザナギ → カレーパンマン
イザナミ → しょくぱんまん

一部であるがこのようになる。古事記での個々の登場人物の詳細については他の文献に任せるとして、こういった関連付けをやればだれが主人公で、誰が適役で、誰が準レギュラーでというのがよくわかる。

第二話「『古事記』と『それいけ! アンパンマン』の世界観」
世界観についても関連付けてみる。図示してあるが例えると神話の舞台は高天原であり、その中に葦原中国もある。アンパンマンも舞台はパン工場でありその中に街がある。このように図に手関連性を紐解いているところがわかりやすい

第三話「ばいきんまん・ドキンちゃんとヒメヒコ制」
まず「ヒメヒコ制」について解説すると、

「国を治めるのに、男と女がそれぞれで力を合わせて統治する制度」(p.90より一部改変)

という。ばいきんまんやドキンちゃんが住んでいる「ばいきん島」を両社が統治していると考えればこれほど簡単なことはない。余談だがこの章の最後には「最終回のばいきんまん」が書かれており、3つのケースを空想している。どれもありそうで怖いが、最終回になっても著者も主張しているように「バイバイキーン」で締めてほしいものである。

第四話「スサノヲをホラーマン」
小さい頃に毎週日曜には「アンパンマン」を欠かさず見ていた私。しかし、本章に出てくる「ホラーマン」だけは知らない。ちょっと紐解いてみるとホラーマンはばいきんまんのテリトリーであるところからなので悪役に属するだろう。では本章のタイトルにあるスサノヲとどういう関係性があるのかと言うと「トリックスター性」があるということ。簡単に言うと悪戯っ子、詐欺師のことをいう。ホラーマンがどんなキャラクターなのかについて分からないのであまり理解できなかった。

第五話「旅人たちを目指すもの」
毎週のように放送される「アンパンマン」だがたまにしか出てこないようなキャラクターもいる。例えば「おむすびまん」や「てんどんまん」たちがそうであろう。そのキャラクターにスポットをあてるようによく題名には「アンパンマンと○○まん」、「○○まんと●●まん」と

いうようなネーミングになることが多い。
日本神話に関しては難しい表現を用いられることも多く、わかりやすく表現しても頭に入ることはそれほど多くなかった。日本神話についてこれから勉強したいと思う方、そう言った本で挫折した方にはこう言ってこれを勧めたい。

「騙されたと思って読んでみろ。笑えるくらい理解できるから」