馬券会計学

著者の丸の内様より献本御礼。
私は競馬はあまりやったことがない。だが一応競馬番組を見たことがあるくらいで、非常に夢否馬くらいしか知らない。当然馬券の買い方は分からないズブの素人である。本書は会計の観点から競馬の本質をついた一冊である。わからない人がますますわからなくならなければいいが。

第1章「クラシックレースを「126.8倍」楽しむ方法」
本書を読むと昨年の桜化賞の3連単の払い戻し倍率である。ちょっとわかる人であればこの倍率を見たら「万馬券」というのがわかる。ちなみにこのレースでは人気馬のウォッカがわずかの差で敗れたが著者はそれを予想したという。

第2章「圧倒的人気馬が「6割」も負けるレースを狙うわけ」
ここでは圧倒的人気馬よりも「新馬戦」や「未勝利戦」、「未公開株」という競馬を知らない人たちにはあまり分からないような用語が出てくる。しかし構える心配はない、章末にわかりやすく解説されている。

第3章「「20万円」の単勝馬券が教えてくれたこと」
単勝馬券に20万円というとよほどでない限り賭ける気に慣れない。しかし著者は若気の至りからかかねてから狙っていた馬にこの金を単勝で投じたのだからすごいとしか言いようがない。ちなみにかけたときは本命であったというが、結局負けてしまった。競馬というのは恐ろしい…。

第4章「勝率「10割」でも負けるわけ」
「下手な鉄砲打ちゃあたる」という言葉があるが、勝率10割でも配当が少ないなど、回収が少なければ結局損失してしまう、つまり「負ける」のである。競馬で食べるための3つのルールというのが本書に書いてあるが(p.79より)

①「新馬戦」「未勝利戦」に絞って勝負せよ
これは第2章で書かれている。

②穴狙いに徹すること
第3章で書かれている。本章では

③勝負レースを絞ること
である。儲けをするためには勝負を絞って、掛け金を少なく、穴狙いなどにより払い戻しを挙げることによって儲けを増やす。会計上、理に適っているばかりではなく、「勝負師」の理にも適っている。賭けではあるがそれが勝負師ではないだろうか。

第5章「前走「12着」の粉飾を監査せよ」
これまで「競馬新聞」を見たことがない。ではこの前走「12着」というのは何なのか。ここまでくると競馬初心者の私ではついていけなくなってしまう所である。

第6章「牝馬が「64年」ぶりにダービーを勝ったわけ」
この章題を見てようやく取り戻せると思った。一昨年の5月に行われた日本ダービーでウォッカが勝利した。なんと64年ぶりに牝馬が日本ダービーで勝利したという。本章ではその理由について迫っている。

第7章「年間「3400レース」闘えますか?」
年間3400レースとなると1日約10レース闘うことになる。私だったら闘えないが、著者は週に1〜2日のレースを松井秀喜の「不動心」の如く勝負をかけている。

第8章「競馬で「578万円」稼げるようになるまで」
競馬の「師匠」と出会い、公認会計士となりとした著者自身の生い立ちについて書かれている。まさに「人生=競馬」を地で行く存在である。

本書は会計学というよりも、会計の観点から競馬の予想方法を伝授した1冊である。競馬と会計の素人であったら何が何だかわからなくなる。置いてけぼりにならないために用語解説されているので、すんなり入っていけるというわけにはいかないが、ある程度の知識が入る。そしてある程度わかってきたことによって来週にでも予想したくなる。そう言ったものであろう。
だが、競馬についてマニアックな人であれば本書だけではまずものたりない。そう言う人向けにこの本を紹介する。

本書の実践編である。これはさすがに読んだことはないが本書をより突っ込んだ内容となっている。さらに著者のHPには予想も書かれており、競馬の予想材料にあたり大いに役に立つ。
素人にはあまりピンとこなかったが、競馬の可能性が広がるような1冊であった。