知っているようで知らない 「法則」のトリセツ

著者の水野氏と言えばほかにも以下の本も出されている。

すなわち成功本やマネー本で有名であり、1年で1500冊ものビジネス本を読破したというほどである。さらに書評も行っており、今年の2月下旬から雑誌「SPA!」で書評が掲載されているという。私も見たことはあるが、やはり書評をやっていく私にとっても勉強になる。

本書はこれまで読んできた、もしくはこれまで書評したものをまとめながら社会にまつわる「法則」として紹介している。成功本やマネー本をひとまとめにしたものもあるがそれとは違ったまとめ方をしており、読む限り、ほぼすべてのビジネス本の法則をこの1冊で網羅している、この本でもってビジネス本の根幹を成していると言っても過言ではない1冊である。これからビジネス本を本格的に読みたい方、そしてビジネス本を読んでもあまりピンとこない方にはお勧めと言っていいだろう。

PART1「職場の法則」
まずは職場にまつわる法則についてであるが、職場についてまずあるのが「役割」について、これは桃太郎の役割を例にとっている。その他にも「バンドワゴン効果」や「メラビアンの法則」などなどPART1だけでも枚挙に暇がないほど多くの用語が取り上げられている。

PART2「仕事の法則」
PART1以上に取り上げられているところ、本書で最もページ数を割いているところがこの章である。仕事を行っていく上での、「やる気」「時間管理」「集中力」「目標設定」「判断」という機能論から精神論に至るまで網羅されているので、どっちかに悩んであったとしても本性がすべてまかなってくれる。

PART3「ビジネスの法則」
主に営業や新規開拓と言ったところである。ここでは有名な「ブルー・オーシャン」や「ジョハリの窓」、「NLP理論」などが出てくる。

PART4「勉強の法則」
さてちょっとずつ仕事から離れてきた。ここでは勉強を行っていく上での法則について書かれているが、法則よりも書評ブロガーたちのメインはここになるだろう。

ブロガー・マトリックス

著者が昨年末にこのマトリックスを取り上げ、書評ブロガーの間で話題をさらった。当ブログは掲載されていないが、他の書評のブログを見るのに格好の材料になることは間違いない。

PART5「心の法則」
心にまつわる法則。組織活動を進めていく上での意識から、自分自身個人としての意識という所まで網羅している。「リスキーシフト」や「囚人のジレンマ」といった難しいところも分かりやすく解説されているので読みやすい。

PART6「成功本の成功法則」
著者が最も得意なところであろう。何せ上記の前書が「成功本」の紹介が多かったのでこう言った法則を立てるのは、本書を書く上で最もとっつきやすかった作業であったのかもしれない。私のお勧めはp.241-242の「本当に夢は実現するのか」という所。著者自身の目標が書かれているが、いくつかがあるいみで妄想めいたところが面白かった。
根幹を成しているだけあって、法則の数が多く、かつ読みごたえがほかの本とは比べ物にならない。たった2・3回読み返してみただけでは本書のすべてを読み取るのは非常に難しい。10回20回読み返して、そして参考文献を読みあさってはじめてこの本の意味がわかるのではないかと思う。そう言う意味で本書は数多くの本を読むための入り口として重要な役割を担っていると言っていい。

※なお本書は小飼さんをはじめ、smoothさん鹿田さんMasterさんも取り上げられていた。