日本の風俗―起源がよくわかる本

普段当たり前にやっている挨拶などの礼儀作法やマナー、年中行事と言った者は一体どこからきているのか、なぜこれを行っているのかというのを皆さんは考えたことがあるか。本書はこう言った起源をわかりやすく解説されている一冊である。民俗学的にも入門書であるのでこれからこう言った学問に入るという人でもすんなりと前知識を取り入れていける。さらにこれを読めば普段やっていることをもっと心をこめて行える、はずである。

1.「礼儀作法の起源」
礼儀作法の起源となったものは一体どこなのか、それは「古事記」からきているという。神話時代にイザナギノミコトとイザナミノミコトの2つの神が高天原に登っていくという祭りからきているという。歴史を見ても、礼儀が何であるのかはよくわからなかった。

2.「出会いの作法」
ここではお辞儀、座る位置・方法(上座や正座といったもの)から握手の期限がここで書かれている。

3.「言葉の作法」
なぜか「すみません」から始まっているところが不思議であるが、著者自身もこれに関しては疑わしいような表現をしているようだ。「すみません」はお詫びするのにも結構軽い表現のように思える。実際に心をこめる場合「すみません」ではなく「申し訳ありません」というのが通例であろう。ではなぜこの「すみません」ができたのかというのを追求したくこの章の筆頭においたのだろう。

4.「飲食の作法」
尾頭付きや赤飯などの祝い事の料理から精進料理、お茶にまつわる歴史がここで出てくる。

5.「服装の由来」
ここでは着物・和服・扇など日本の民族衣装の由来や作法について書かれている。日本が作り上げてきた民族衣装の由来が簡単だが明らかになっているところがなかなかいい。詳しいところはそれにまつわる専門書に丸投げというのもまた一つの手段である。

6.「婚礼の由来」
婚礼を一口で言っても、昔は政略結婚というのがあり、今では恋愛結婚(できちゃった結婚も含む?)や婚活と言ったものもあれば、中にはお見合い結婚と言ったものもある。本書ではお見合い、結納、結婚式でよくある仲人、お色直し、角かくしと言ったものから、縁起が悪いとされている「丙午(ひのえうま)」や「大安」「赤口」と言った日の吉凶まで本章で書かれている。

7.「葬礼の起源」
葬式ではもう当たり前にある、通夜、戒名、忌中、香典についてがここで書かれている。

8.「贈答の作法」
水引・のし、結び方、中元と言ったことが書かれているが、マナーを学ぶ一環としてここは読み流したほうがいいかもしれない。

9.「年中行事の由来」
1月1日の正月から大みそかまで順を追ってその由来を説明している。

10.「共同体の起源」
子供にまつわること、祭り事と言った者は共同体の概念なくして成り立たないというのが事実である。さらに悪い側面で「村八分」というのもあるが、これも共同体の中でできたものである。良くも悪くも日本人というのは「共同体」という概念なくして成り立たない。たとえ個人化というの風潮が成長していっても、である。

日本ではもう当たり前になっていることを起源や由来を知るだけでも視点が変わるはずである。そう言った意味では本書の役割は非常に重要である。