がんばらないで成果を出す37の法則―アライアンス人間関係術―

「もうひとりではがんばらない」

本書で最も言いたい言葉であろう。平野敦士カール氏は「アライアンス仕事術」以来約10か月ぶりの最新作である。冒頭に書いた言葉だが私自身最も胸に突き刺さる言葉であった。自分自身これまで一人で頑張ってきた感じがあり、職場でも気がついてみたら自分ひとりで頑張ってしまう結果。生真面目なのか、自分が動かなければ気が済まない性質であるのだが、私自身冒頭の言葉を胸においてもっと肩の力を抜いてみようと思った。

個人的なことはさておき、本書は「人間関係」に特化したアライアンス術である。もともとアライアンスは人を巻き込み、人に巻き込まれながら進めていく、掴んでいくというのがアライアンスの意味であるので仕事術の応用もあるが、人間関係と考えると「アライアンス」の核となるのではないかと私は思う。

1章「21世紀はアライアンスビジネスパーソンの時代」
20世紀は高学歴や有資格者と言うのがモノを言わせた時代であった。しかし21世紀はメールやインターネットの技術の進歩によりリアルでのコミュニケーションが重宝される。人脈を持ち、社外の人から信頼を得られる人が重宝され、さらには多くの企業に抜擢される人材となる。さてアライアンスビジネスパーソンとなるにはどうすればいいのかということでここでは基礎編と言ったところである。他人から信頼を勝ち取るためには礼儀をわきまえたりすることも大事だがこの章で印象に残ったのは著者が定義する「ネオ・ビジネスパーソン」についてである。大きく分けて3つある。

1.「人を出し抜くよりも助け合って仕事ができる人」
2.「創意工夫・メキキができる人」
3.「自分のブランドを持つ」

競争ではなく「助け合い」を持ち自分にしかできない役割や目利き・工夫ができる人がネットワークをつくりやすく、何よりも人脈を築きやすく、会社にとって重宝される人材となる。

2章「誰でもできるアライアンス・コミュニケーション術」
アライアンスは本書での意味では「誰と一緒に仕事をする」ということである。「巻き込む」ことも、「巻き込まれる」ことも大事だが、まずは「巻き込まれる」ことからアライアンスが始まるという。そうした中で相手の要求に応えながら好感を持たせる。それだけではなく直接会いに行ったり、レスポンスを早くするということだけでも相手にとって交換を持つことができる。最後には「アライアンスブログ術(?)」なるものまであった。

3章「誰も教えてくれなかったアライアンス人脈術」
さてここでは人脈術。「人脈の達人」の一人である著者はどのような人脈術を述べるのかというのに期待がかかった所である。まず、
20代のうちはとにかく様々な人と付き合うことが大切だという。取捨選択は「良い・悪い」の判別がつく30代からでいいとすることから、積極的に人と出会うことが大切であるという。このことを「人材のベンチャー投資」と言っている。
著者の特徴的な人脈術として代表的なものでは「ランチ」。これは先の「仕事術」の情報収集でも取り上げたが人脈術でもランチを取り上げている。しかもお勧めの店も紹介しているほどなのでどれほど熱意がこもっているのか見て取れる。

4章「ワンランク上のアライアンス人間関係術」
人間関係を築く上には相手のメリットを優先する、もっと行くとみんなのメリットを考える、すなわち「win-win」をつくることこそ人間関係を築く上で大切なことであるという。
人間関係というとまず直面するのは自分にとって苦手な人との付き合いや、噂・いじめと言ったこともあるがその付き合い方についても紹介されているのでそれらに悩んでいる人にとっておそらく大いに役に立つであろうと私は思う。

5章「ワンランク上のアライアンス仕事術 [実践編] 」
ここでは前書の「アライアンス仕事術」の実践編と言うべきだろうか。
「交渉術」やプレッシャー克服、モチベーションと言ったことについて紹介している。
最後には「がんばらないで成果を出す37+1の法則」と「おススメ書評メルマガ&書評ブログ」について取り上げられている。おそらく大体の読者は「+1」というのが気になるが、だんだん読んでいくうちに自ずとわかってくるので是非ご購入を。そしておススメ書評には数多くの書評メルマガやブログが満載であり、何度か交流したことのある方の書評も載せられている。ビジネス本に限らず多岐にわたる本を取り上げている方もいるので是非アクセスを。

こう言ったインターネットなどのバーチャルが進歩しているほど「人間関係」というのが希薄になる。希薄になるからでこそこれから重要になってくる。本書はリアルに人を使いながらワクワクできる、非常に薄く、読みやすく、やさしい値段でありながら人間関係に関して大きなカンフル剤となり得る一冊である。