「裏声」のエロス

中学・高校と部活動は吹奏楽部だったが、練習の一つとして「ソルフェージュ」というのがある。簡単にいえば表現を磨くために合唱練習を行うというのである。そのことから「裏声」というのに関してはある程度は知っている。

しかし本書のタイトルを見ると意味淫靡なイメージがしてならない(私の妄想かもしれないが)。本書は裏声のメリットと実践法について書かれたものである。

第一章「「裏声の幸福」恋愛編」
「エロス」というのは本章のことを言っているのかもしれない。何せ「女性の声」や「セックスレス解消の声」と言ったところを取り上げている。
ここでは「エロス」の部分と「裏声」、そして「男声」「女声」の性格についても取り上げている。よく女性が「好きな男性(女性)の声のトーンは?」というアンケートがあるほどである。
「裏声」は本書によると「ネガティブ」なイメージがついているという。私は歌うときはほとんど裏声だったためそのようなイメージがあったということは知らなかった。また歌の用語として「ファルセット」というのがあるが、これはイタリア語でこれもまた「偽り」というネガティブなものとされているそうだ。

第二章「「裏声の幸福」話術改善編」
「話術」
私が最も勉強すべきだろうとする分野である。話術というと「ロジカル」や「ラテラル」というような話し方というのがあるところを考えると「裏声」というのは必要ないかと考える人見るだろう。
しかし話し方に箔をつける場合「声量」や「声質」というのも重要な要素である。重要なところフォルテにしたり、だんだん強く(クレッシェンド)したり、口調を早めたりと、まるで音を奏でるようなものが話し方の一つである。
本書は「裏声」ということだが、裏声は高くても低くても融通が利くのでケースバイケースによって声色を変えることができる。

第三章「「裏声の幸福」ストレス解消編」
ストレス解消法として、ベタではあるが「冬の海に向かって「バカヤロー!」と叫ぶ」というのがある。もし私だったら川崎に住んでいるので茅ヶ崎の海に行って叫びたいというのがある。理由についてはあえて申し上げる必要はない。
私情はここまでにしておいてここではストレス解消法について取り上げている。とはいっても打つ解消法として声を出すというのがある。「裏声」を使うというわけだから歌うのかと思ったのだが、ここでは「音読」「泣き声」というのを取り上げている。
思いっきり泣く、もしくは音読をすることによって声を出す。裏声を出すということなので子を出すというのには変わらないが、その通りと思うのだが、当たり前だと思えない不思議さというのを感じた所であった。

第四章「「裏声の幸福」健康編」
健康を維持するためには声を出すのも一つの手段である。本章では喘息などの体の異常を感知し、直してくれる効能について説明している。

第五章「「裏声の幸福」歌唱上達編」
最初の所で中学・高校とソルフェージュで合唱を行ったと書いた。その時から裏声というのを意識し始めたと思う。他人の音との調和、そして体や声を使った表現と言った者もやったので本章の内容はある程度わかる。
ここでは裏声でもって音痴を治すという方法について書かれているが、まさにその通りである。裏声は声の高さやトーン、声量が幅広く、コントロールしやすいところにある。とはいえ細かいところまで行くと腹筋などの力も必要になってくるが、初心者であればその必要はないだろう。

第六章「「裏声の幸福」音育編」
子育てに関しての裏声の用法について書かれている。
経験柄、「裏声」の良さを語る本は無条件で賛成せざるを得ない一冊であった。特に自分の「声」について悩んでいる人がいたらぜひ進めたい。
最後に念を押すが、本書は決して18禁ではないことだけを言っておく。タイトルだけで惑わされないでほしい。