仕事の8割は人に任せなさい!

仕事を任せるというのは、仕事を始めてからまだ浅い。しかしもう社会人2年目になったことによって今度は私が新人にどう仕事を任せたらいいのかというのも課題になる。まかせ方というのも方法があるが、さてどのように任せたらいいのか。

本書は任せ方だけではなく、上手に頭を借りる「仕組み」づくりについて、著者の方法を紹介している。2009年はまさに「仕組み」の年である(今回はここで言ってみました(笑))。

序章「なぜ、仕事を抱え込んでしまうのか」
あまり言いたくないが「100年に1度の大不況」といわれる現在、仕事の量は減少しているところも少なくない。「働くことが生きがい」と称して毎日残業をするという人もいる。
しかしそれでいいのだろうか。他にもっとやりたいこと、やらなければいけないことがあるのではないかという人もいるだろう。本書は「人に任せる」という本であるが、上手に他人の頭を借りる「仕組み」を紹介するのが本書の狙いである。

第1章「こんな“生産性のムダ”が成功スピードを遅らせる」
とはいっても「任せる」ということとなると、それだけで抵抗感を示す人もいるのだろう。
ましてや「断る」というのはもってのほかと考える人もいる。
しかし今年の2月に文春新書にて勝間和代の「断る力」というのが上梓されている如く、断る力というのはビジネスの上で重要な位置を占めているように思える。
仕事というと自分でやらなければいけないものと、自分でやらなくても他人に任せていいものというのがあるという。それの分別というのはある程度の力が必要に思えるが、そのレベルにいてもそれができない、しようとしない人がいるというから困りものである。
「任せる」というのは、決して楽をするのではなく、その人に会ったレベルの仕事を振り分けることによって、相乗効果のように成長するということこそが「任せる力」の強さである。

第2章「あなたの仕事の8割は人に任せなさい」
まずは自分の棚卸を行う。結果によって一喜一憂する人もいるが、正直に答えて、自分がどのような位置にいるのかということを俯瞰することも大切である。おそらく「忙しい」と連呼している人たちにはそれが見えていないのではないかとふと考えてしまう。
自分のレベルが分かったところでいよいよ本題。ここでは仕事の任せ方の具体編である。本書では仕事の任せ方について5つのステップに分かれている。
1.「現状認識」
2.「準備」
3.「行動」
4.「確認」
5.「反省と分析」
細かいことについては本書に任せるとして、とりわけ1.と2.については抜け落ちたり、かけたりすることが多いかもしれないので、念入りにやっておかなければ今のような丸投げになってしまう。
最後には臼井流整理術についても述べられている。

第3章「他人の頭と時間を上手に借りるちょっとした工夫」
「他人の頭と時間を借りる」というのは見事な発想である。相手は時間を奪われるという感覚もなく、むしろ有益だったという感想があり、お互いに「win-win」となるような考え方である。それと同時に「思考の整理」という役割も担える。
さらには人の任せ方を性格別アプローチ方法も伝授し、さらには「殺し文句(?)」までも暴露というまさに「臼井節爆発」といった内容である。
「あなただけが頼りなんです!」
そういった文句を言う人がいたかどうか。

第4章「人を巻き込むほど、より大きなチャンスをつかめる」
「人を巻き込む」というとアライアンスであったり、最近では藤巻氏の本もあるとおりである。できる人は人を巻き込むという力もあるというわけだろうか。
任せられる人の人柄、話し方ということもあり、さらには大物と呼ばれる人たちに好かれる法則まで、ここまで言っていいのかというくらいの内容である。

第5章「最小の時間で最大の成果を上げる自分マネジメント術」
「あなたの「時間価値」はいくらですか?」
これは臼井氏の講演会でも、著書でも何度も主張していることである。1時間の仕事と1時間当たりの給料が釣り合っているのかどうかを調べること、それにより、「どこがいけなかったのか」「どこに力を入れるべきか」というのを意識できるという考え方である。巷では「タイムマネジメント術」という本があるが、臼井氏の「時間価値論」は中でも珠玉といえるほど説得力がある。

人に仕事を任せる方法について書かれていたが、これが人気で重版が出たというのは、任せ方について悩んでいた人が多かった。任せるべき立場の人が任せることができなかったからでこそ本書が必要だった。それらの声が本書には見事に反映されているということだろうか。