頭のいい人だけが知っている お金を稼ぐ読書術―33歳で3億円をつくったインプット・アウトプット法―

もうすでにビジネス書ブームになって1年以上が経過しようとしている。これまで多くの仕事術や勉強術、はたまたは読書術といったもの至るまで様々な本が出版されてきた。

本書の著者もお金を稼ぐ方法から、使い方、ノート術、時間術に至るまで様々な本を世に出してきた。その著者が新たに出したのは「読書術」である。著者もまた読書家であり、自らの読書をし、実践することによって成功を手に入れた。本書は自らの読書観を余すところなく紹介している。

1章「読書はお金を生み出す道具」
読書というのは様々な方法があり、大きく分けると主に趣味の読書である「楽読」、ビジネスにおいて実践を行い、目標を達成するために読む「実読」というのがある。本書ではまさに「実読」、その中でも「お金を稼ぐ」に特化した読書術である。
「お金を稼ぐ」と言っても多様なものがあり、株式や不動産投資と言った本で投資術を学んだりするというのもある。著者は不動産投資で3億円もの資産を持つことができたとしているので投資術という所なのかというとそうではない。
読書と言っても様々な本を読んでおり、それと同時、それ以上に実践を行っている。
そのことによって33歳で3億円の資産を築いた原動力の一つとなった。

2章「お金を生み出す読書の仕組み」
「2009年は仕組みの年である」
さすがにこの言葉は飽きてきたが、今年1年はそういった本が目白押しとなりそうなのであえて連呼しておく。
能書きはそこまでにしておいて、ここではお金を生み出す読書の方法について具体的な方法について紹介している。一部だけ紹介すると、
・いつでもどこでも読む環境を作る
・本をバラバラに分解する
・同時に20冊を並行して読む
・適齢期が来るまで寝かせる
というのがある。特に3番目は「本は10冊同時に読め」というようなタイトルの読書本があるのだが、それの上を行っている。10冊までであればわかるのだが、さすがに20冊までは…とも思ったのだが、「すべて目を通すわけではない」ということを付け加えれば20冊は可能と言える。
「お金を生み出す」ということなので「読了即実践」というのがモットーなので全部読む必要がないというのもある。

3章「頭のいい人が実践しているお金に換える読書の技術」
読書というのは「著者との対話」という側面を持っている。特に著者の追っかけ(読書による追っかけ?)をおこなっているという。しかも様々な目的に合わせて何人もの著者を追っかけているそうだ。追っかけと言っても気に入った著者の本をすべて読むという形であるが著者の持っている思考の根幹を知るというのも目的の一つである。
さらに読書によって得られる側面もあるので著者の持っている意見に賛同しながら、自らの思考の血肉としていくそうである。
当時の私にはそういう発想がなかった。書評を始めた当初は思考の血肉というよりも、まさに字の如く「この本のここが良い」「この本は嫌い」とはっきり主張していた(今も変わらないか)。だんだん読んでいくにつれ、さらにセミナーにも参加するにつれ考えが変わり、そのような意見があるのかということで相違する意見の本にも手を出し始めた。読むたびに新発見はありえるものは大きいのだが、それによって弊害となったのは「意見が言えなくなったこと」にある。書評は本の内容を言って得た者を述べるだけではなく「書を評する」の如く、評価をしないと「書評」とは言えない。辛口に評価してしまうと著者との論戦となり、泥沼になるということを恐れてしまう。当然リアルで著者とお会いしてしまうので、批判をしようか絶賛しようかというジレンマに度々襲われる。

4章「お金を生み出すアウトプット読書法」
ビジネスに関するノウハウ本の場合は読んだ後、愚直に実践をしなければその本の価値は見出すことができないとされている。本書でも実践をすることを推奨している。
それだけではなくノートや会話によってアウトプットをする方法を紹介している。

5章「高速大量インプットするコンサルタントの読書術」
読書術と言うと「目的にあった読書をする」というのがほとんどであり、速読や多読と言ったことはそれほど重宝されていない。
しかし本書では速読や多読というのを推奨しているところが特徴として表れている。経験値・読書量・関心度・集中力が相まって読書量が増えるという。これには個人差があるがその通りだと思う。読書というのは新しい考え方や角度を学ぶことができる。さらには疑似体験というのができるので経験値を得ることができる。読書をすることで興味がわき、同じ分野の本を読みたくなる。それがサイクルとなって循環することによって大きな「知」になる。

6章「頭のいい人のお金のトレンドを読む技術」
本は例外なく流行というのが存在する。現在で言ったら村上春樹の「1Q84」がある。さらには「勝間本」というものもトレンドになっているようだ。本章では「本」といよりもキャッチコピーやタイトルづくりと言ったところをピックアップしている印象が強かった。

「お金儲け」と言うといやらしい感じが強い印象を受けるのだが、本書はそういったものがみじんも感じられなかった。お金を儲けるというのもあるのだがそれ以上にアウトプットの価値を見いだすことのできる、さらには多読・速読というのを推奨しながら実践をすることによって「知」に落とし込んでいく凄さを感じ取れた一冊であった。