いい仕事をする人の3つの断り方!

様々な場で「断る」というのは気を使ってしまうのだが、特にビジネスの場においては相手の気を逆撫でにする、もしくはそれ以降の商談にも影響を及ぼすというなど悪影響を及ぼしかねない状況になる。しかしビジネスの場に限らず、様々な事情から断らなければいけない状況というのは必ずある。本書は自分にとっても、相手にとっても気持のいいばかりではなく利益になるような「断り方」というのを伝授している。

序章「「断り上手」の基本は、断らないことにある!?」
いきなりこのタイトルを見ると、あべこべなのではないかと驚く人がいるだろう。
しかし「頭ごなしに」断るのではなく、イエスと言いながらもしかし理由を明確にして断るという方が相手にとっても感謝されているという考えから「まぁ仕方がないか」と考えることができる。申し出をした相手を立てながらも断ったり意見を言う。
一見中途半端や、口を濁しているように見えるのだが、相手への敬意というのを忘れてはならないという所を本章では教えてくれる。

1章「時間を自分の物差しで考える――自分なりの断る基準を決めておく」
仕事の断るといっても自分の価値観や判断基準というものがある。それを明確にしないと、自分の好き嫌いで物事を決めてしまうため相手からは反感を買われるようになってしまう。
それを防ぐためにもまず自分なりの基準を決める必要がある。
特に「断り下手」と言う人だと、どんな仕事でも「安請け合い」にOKを出す、または考え方に迷いのある人、または周囲への配慮の無い人と分けられている。特に前者2つは良くいわれているように思えるのだが、3つ目の「配慮がない」というのが困りものかもしれない。
この3つに共通することは自分の物差しがない、そこから周りとの配慮がないというのがある。
そのためにも時分にはどのような仕事が得意で、どのような仕事が不得意なのか、自分にはどのような基準があるのかというのをあらかじめ知ることが肝心と言える。

2章「断りやすい舞台を整える――断り上手になるための基本ルール」
断るというといい方とか物差しだけではなく、雰囲気などの舞台づくりというのも大事であるという。
断るにしても断りにくい雰囲気になって「断る」と明言してしまったら「空気が読めない」「感じ悪い」という印象を受けてしまう。しかし、断れるための雰囲気を作るためには相手への気配りや演出を迅速に心がけるという。
断ることと雰囲気づくりというのが大切だなと気付いたところである。

3章「断り上手は「聞き方」はうまい――カドを立てずに、仕事の主導権が握れる断り方1」
「聞き方」というとコミュニケーションの根幹の一つと言える。
その聞き方や「沈黙」と言うと臼井氏の前書である「上手な話し方」にもある。
沈黙を使いながら理由を伝える、相手を冗舌にさせるという所は話し方の真髄を見せつけられるところと言える。

4章「四つのテクで、気持ちよく断る――仕事の質と効率がみるみるよくなる断り方2」
四つのテク、これはコミュニケーションツールのことであるが、何も特別なものはない、表してみると、

・表情
・仕草
・声
・言葉

のツールを使って気持ちよく断ろうということである。
「何だ」と思いがちかもしれないがこの4つを1つもかけてはいけない。もし言葉だけ、仕草だけ、表情だけ、声だけで断ろうとすると相手の方も嫌な気持ちになる。最悪、相手の気持ちを逆撫でしてしまい、今後の関係に溝ができてしまうことになる。この4つをうまく使って気持ち良い断り方をする。簡単なようだけれどもなかなか難しく思える。しかし本章のことを少しずつ実践していくと、気持ちよく断れる人、もっと言うと断っても悪い気持ちにさせない人になれる。
本書の中で本章が最も肝になっているのかもしれない。

5章「「提案のNO」を使いこなせる人になる――信頼関係がますます深まる断り方3」
頭ごなしに「No」と言っても生産性は生まれない。
ここでは断るけれども断る代わりにどうしたらいいのかというのを教えてくれる。「ただ断る」というのではなく、新たな生産をさせてくれる「No」の方が断られた身にとってもとても気持ちよくなれる。

今年の2月に発売された勝間和代氏の「断る力」というのがベストセラーとなった。勝間氏も勝間氏なりの断る力というのを持っており「自分の軸」を知るということを念頭に置いて断っているという印象が強い。
著者は自分の軸を知るばかりではなく、相手に感謝しながらも断るという形なので、温かみの観点で言うと臼井氏の方が気持ちが良い。
断らければいけないと考えている人、もしくは自分は断れない人だと思う人はぜひお勧めする一冊である。