アイデアを出すというのは何も一人というわけではない。新しい商品はどうしたらいいのか、新しいプランやビジネスモデルを考案するという「企画会議」や「アイデア会議」というのがある。私は職業柄、発想というのには無縁のように思える。しかし「職場デザイン」や「クライアントとのシステムデザイン」のアイデアを出すというのもあるのかもしれない。ビジネスにおいて「アイデア」というのは重要な要素であるが、「アイデアマン」ということに対して憧れしかもっていなかったり、自分はアイデアマンではないと謙遜してしまう人も多いかもしれない。
さらに「アイデア会議」と言うとあらかじめ課題が出される、もしくはすでにセッティングされているというのであればいいのだが、突発的にかつ何も準備していない状態で始められてはたまったものではない。
本書はアイデア会議の方法を伝授しており、「アイデア会議」の良さについて書かれたものである。
第1章「本当の「アイデア会議」とは何か?――会議は舞台。自分の役を知り、徹底的に演じるべし」
アイデア会議はあまりよくわからない私。
アイデアを出すための会議であるのは分かるが、様々な意見にいちゃもんをつけたり、否定的な意見ばかりが出て結局は堂々巡りということになっているところもあると思う。
アイデア会議をやるにあたって本章では「Who(参加者)」「What(行動)」「When(時間)」「Why(目的)」「Where(場所)」に分けて構成要素を紹介している。
第2章「アイデア会議のゴールデンルールズ――誰にでも覚えられるシンプルなルールこそが、最大のレバレッジを生む」
アイデアのゴールデンルールは全部で3つ。
1.「持ち寄る」
2.「発言と発言者とを切り離す」
3.「選ぶ」
1.と2.とを見てみると「ブレインストーミング」というのに見える。しかし「発言と発言者とを切り離す」というのが気になる。
「ブレインストーミング」は大概、アイデアを出すと批判や意見は禁止、それに乗じたアイデアはOKだが会話の中からアイデアが出るため「発言」「発言者」というのは切り離せない。
では、「発言」「発言者」はどう切り離すのか。本章では「物理的に」切り離すという。
さて、どう切り離すのか……それは本書を手に取らなければ分からないことにしておく。
第3章「プランナーにとってのアイデア会議とは――考える、考える、考える……自分のアイデアで会議室を埋め尽くせ」
今度は個別にアイデア会議における「プランナー」と「ディレクター」の役割について2章に分けて説明されている。本章は「プランナー」についてである。
「プランナー」は文字通り会議を計画する人のことを指しているが、それを考えるためには計画的でありながらも「云いだしっぺ」になる必要があるという。またアイデアを変えるという「云い換え」というのもプランナーの役割と書かれている。
第4章「ディレクターにとってのアイデア会議とは――考える場を作る、アイデアをもらう、そして自分が決める」
ではディレクターはどのような役割を担っているのだろうか。プランナーをまとめて、考えをまとめたり、クリティカルなアイデアにどのようにして導くかというのが大事になってくる。
第5章「アイデア会議の大道具・小道具――云い出し/云い換えを陰で支える裏方たち」
アイデアを考えるのは頭であるが、ではアイデアを出すものとしての道具がある。
「紙」
「机」
「ホワイトボード」
だという。せっかく出てきたアイデアをまとめたり、並べたり、動かしたり、考えたりすることのできるツールなのでアイデアがさらにアイデアを生み出すことができる格好の道具と言える。
「アイデア会議」の真髄が本書にすべて詰まっている。アイデア会議をやりたいけれどどうやるのか分からない、アイデアを出す会議はやったことがあるのだが思うように成果が出ない人たちには格好の一冊と言える。
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