上司はなぜ部下が辞めるまで気づかないのか?

かつて「終身雇用制」というのが重視され、いったん就職したら還暦になるまで同じ会社、そしてエスカレーター式に昇進していくことが担保されていた(年功序列制)。しかし、バブル崩壊以後この労働の形は大きく変わり、今や明日同じ職場で働けるという保証がなくなった。その影響もあってかいくつかの企業では社員同士の会話や、職場いじめと言ったギスギスとした雰囲気になっていき、若手の社員はやる気を失い、辞職者が続出し、「若者が3年以内で辞める」という風潮ができ始める要因の一つとなった。本書は上司からの職場改革として、上司も部下もワクワクするような職場にするにはどうすればいいのか、ワクワクしない、もしくはやる気をなくす職場の原因とは何なのかという所を徹底追及している。

第1章「部下がヤル気をなくす本当の理由」
部下がヤル気を無くす理由はいくつかあるが、最も大きな要因としてあるのが、
「ほめ言葉」と「ありがとう」
というのがほとんどないという。当然ほめるばかりだけでは部下はつけあがるが、アメとムチのように時には叱り、時にはほめるというのが育てるうえでも重要なことであるが、ムチしか使っていなければ後々部下が反抗的な態度になったり、思考停止に陥ることにもなりかねない。

第2章「部下がどんどん成長する職場の作り方」
ここではワクワクしながら部下を成長させる職場の作り方、簡単にいえば「場」の作り方について7つ伝授している。
特に「数字にとらわれない」や「仕組みづくり」と言ったものが印象的だった。

第3章「上司も部下もワクワクしながら働くために」
上司と部下の認識、社員と社長、会社と社員の認識が完全に一致するということはほとんどないだろう。それは人は誰しも上司や会社に対して不平不満があるのだから。
ここでは優秀社員の像を明確にしたり、評価基準の明確化というものを奨励している。

第4章「部下のワクワク感を裏切らない秘訣」
ワクワクする場都言ったものが構築されたら今度は裏切らせない、ワクワク感を持続させるという方法についてである。
問題点の開示と問題解決と言ったものが主となっている。

第5章「保存版・部下が辞めないシンプルな方法」
ここで最も上がっていたのが「励ます」ということである。仕事は単独でやることもあればチームワークもある。私は仕事がらチームでの仕事が多く、周りとの協調性というのもネックになってくるが、同時にお互いに励ましているのかというのもチーム意識を向上させる上で重要なものになってくるが、目標意識、もしくは納期と言った意識に目が行き過ぎて結局、遅れた所の吊るしあげ都言うような状態になってしまう。ピンチの時には助け合いながらも励まし合いながら目標を目指す。一人ではできないところを皆でカバーする。「スクールウォーズ」の名言である、
「One for all ,All for one」
と言う言葉が生きてくる。

バブル崩壊以後人材の流動化は進んでいる。企業は社員が定年になるまで育てる、働ける場を保証できなくなったこの時代だからでこそ、会社の空気作りというのが切実な課題であり、最も重要な課題の一つと言えるが、それを実行できた、機能できたという企業は残念ながら少ないとしか言いようがない。むしろ空気が「ギスギスとしている」という会社がむしろ増えているのではないかと考える。売り込みもシビアになり、経済や企業的にも明日倒産するのか分からないこの時代を象徴しているのかもしれない。むしろこういう風潮になっている時こそ、場を盛り上げる力のある人が表舞台に活躍できるチャンスであることを象徴しているのかもしれない。