「場回し」の技術

ビジネスやプライベートなど様々なところで「場」というのもが存在する。当然その「場」を取り仕切る人が出てくる。しかしその「場」を作る技術というのはどのようにして身につけたらいいのか、「場回し」をするにはどうしたらいいのかと悩む人は多いことだろう。本書は様々な場における「場回し」の達人を紹介しながら、その人たちの極意を余すところなく書かれている。

第1章「「場回し」概論」
そもそも「場回し」とは何なのかと訊きたくなるだろう、本書では「場回し」はこう定義されている。
「3人以上集まる「場」で、全員が1つの目的・目標に向かって、ポジティブに参加している状態を作ること」
3人以上集まることが「場」として定義されており、その中に「会議」や「勉強会」「セミナー」「飲み会」「チーム」というのがある。本書ではこの後「会議」「セミナー」「チーム」「飲み会」についての「場回し」をそれぞれの達人とともに紹介をする。

第2章「会議」
仕事を行う上でネックになるものの一つとして「会議」がある。価値観の違う人たちが集まって一つの目標に向かって話し合う、もしくはアイデアを出し合うというようなことを行うのだが、会議と言うと上司と言った発言力の強い人が終始リードをする、部下に意見を求めても気に入らなければ切り捨てて、結局ワンマンショーのようになってしまうことが多く、参加した人は参加する意義を見いだせず、ただ「やらされた」という感想でしなくなる。
それを避けるためにここでは会議における「場回し」の技術を紹介している。
準備や要約、目配り・気配りと言ったものもあるのだが、「脱線」や「分割」という所は興味深く、会議を面白くも、楽しくもさせる画期的な技術だなと思った。
ここでは「アライアンス」で有名な平野敦士カール氏が取り上げられており、会議の中での「アライアンス」の極意について紹介されている。

第3章「セミナー」
セミナーに参加をし始めてもう8ヶ月たつ。その中で様々な学びがあり、そこから自らの仕事に落とし込みを行いながら、懇親会の場で名刺交換をしながら、またそこで違ったことを学ぶというのが楽しみの一つであり、一種のライフワークになっている。
今まで数多くのセミナーに参加したことがあるのだが、内容によってはいろいろ差が出ている。本当に満足のできるセミナーもあれば、講師自身の自慢話ばかりで怒り心頭の状態で帰ったセミナーもあった。
セミナーに参加する頻度が多く、良く知り合いから「セミナーを主催したら」という声もある。
今となってはセミナーが開催されることが多くなり、オープン・クローズド、小規模・大規模問わず至る所で開かれている。しかし私はと言うと、セミナーを開催したいという願望は今のところない。というのは数多くのセミナーがあり、多種多様なセミナーがあるが、そこで自分が参加したいというセミナーを作るという考えはなく、あくまで自分が勉強したいというセミナーに行きたいという思いがまだ強いからである。これからもっと多くのセミナーに足を運ぶが、もし飽きてしまい・違う形のセミナーを考案できるようになったのであればセミナーを主催したいと思っている。そうなるのはまだ先の話になるかもしれないが、自分自身でもまだ分からない。
わたくし事はここまでにしておいて、もし私がセミナーを主催するとしたらどのような「場回し」が必要なのかということを教えてくれる。後半には数々のセミナー運営を行っている美崎氏のことについても取り上げられている。コンセプトやプロファイリングというのが印象強い。

第4章「チーム」
チームは私の職業の中で避けて通れないものである。個人稼業であり、一人で稼ぐようになれば本章を読む必要はないのだが、私の仕事においてはチーム運営というのがあり、プロジェクトが1年のうちに何度も変わるため、チームメンバーとしてどのように場回しをしていけばいいのか切実な問題であったのでここは特に勉強になるところである。
「アクティビティ」という言葉が最もフォーカスされていたように思える。それは少し後に書くとして、他には他己紹介や吹聴、ほめ上手といったものが取り上げられている。特に他人を知るための「他己紹介」というのは相手のことを知っていくうえで距離感を縮められるためなかなかおもしろいなと思った。
さて、アクティビティである。アクティビティというのは何なのか、簡単に言うと「レクリエーション」によって相手の距離を縮めていこうというものである。
それにまつわることで「チーム・ビルディング」が取り上げられている。私も先月これに参加したのだが、楽しみながら、暑くなりながら連帯感やチームプレイについて教えてくれる。

第5章「飲み会」
最後は飲み会である。飲み会と言うと「出会いの大学」で有名な千葉智之氏が独擅場ということで多く取り上げられている。楽しみながら場回しをするという技術というのを取り上げている。

第6章「実践編」
技術に関する紹介は前章までであるが、ここでは「読了即実践」をしやすくするために「どのようにして実践をしたらいいのか」というのを伝授している。簡単なもの方やる、複数やってみる、技術を応用してみるなど、多彩な実践方法がここでは紹介されている。

「場回し」と言うと何やら難しそうに思えるのだが、本書は技術毎に難易度も出しているので、どれが簡単なのかというのが容易にわかり、どこから実践していけばやりやすいのかというのも一目でわかる。
「場回し」は一朝一夕ではできない。しかし本書の技術を真似し、学びながら自らの血肉にしていけば、いつの間にか「場」を取り仕切ったり、仕事を円滑にする原動力を与えられる人となれるだろう。