四字熟語ひとくち話

言葉に携わっていると、必ず出くわすのが「四字熟語」である。四字熟語と聞くと、漢字が苦手な人は忌避してしまうかもしれない。私自身はと言うと、元々漢字が好きだったため、四字熟語にはすんなり入っていけると高をくくっていたが、思っている以上に難しく、苦手になるときさえあった。しかし今では新しい四字熟語を知りたいという好奇心ばかりが強くある。

会話にしても、本や資料を読むにしても、必ずといってもいいほど「四字熟語」が出てくる。その四字熟語には必ずといってもいいほど「成り立ち」が存在する。本書はその成り立ちなどについて「ひとくち話」のように簡単ながら解説を行っている。

Ⅰ.「どんな時に使う―四字熟語の知恵」

よく使う四字熟語も存在している。例えば「絶体絶命」や「起承転結」「単刀直入」「一長一短」と言ったものがある。本章では岩波四字熟語辞典ではどのようにして掲載しているのかの経緯も取り上げている。

Ⅱ.「人のさまざま」

「無芸大食」「慇懃無礼」「中肉中背」といった人のなりや性格のことを表す四字熟語がある。時には罵倒になるようなものもあれば、身体や中身などを礼賛するようなものまで、多種多様とも言うべきか。

Ⅲ.「世間の渡り方」

人生の渡り方は人それぞれであり、人によっては一攫千金や右往左往、四面楚歌など良し悪し問わず、渡り方によっての四字熟語も多く存在する。その意味もあれば、どのようなルーツがあるのかも取り上げている。

Ⅳ.「親子・夫婦・人の縁」

人には多くの「縁」が存在する。その縁は「良くも悪くも」と言う言葉が正しいのかも知れない。その人の縁についても多くの四字熟語があるのだが、男女の関係と変化、さらには家族の大切さ、対人関係の良し悪しも含めて表現できる。

Ⅴ.「これも四字熟語?」

「四字熟語」ももちろん四文字の熟語であるため「四字熟語」である。もっとも四文字であるとするならば「品行方正」が良くて「品川方面」がダメ、あるいは「弱肉強食」が良くて「焼肉定食」がダメというのも理由があるかというと、実はないに等しく、「四字熟語」であるという。もっとも四字熟語の定義は「四文字の熟語」が構成できると言うところにある。

Ⅵ.「動物尽くし」

「牛飲馬食」「竜頭蛇尾」「馬耳東風」など動物に喩えての四字熟語も数多くある。なぜ動物になぞらえているのか、そこには四字熟語ならではの魅力が溢れている。

Ⅶ.「故事を知る―四字熟語の知恵・上級篇」

たいがいの四字熟語の成り立ちは「故事成語」である。中国大陸における出来事を四字熟語になぞらえて、意味を作るところが四字熟語の魅力の一つである。ただ四字熟語を並べるだけでは意味がなく、どんなエピソードがあるのかもわかりやすく解説されている。

四字熟語の世界は奥が深い。そのめくるめく四字熟語の世界を楽しく解説してくれているのが本書とも言える。