大人のための日本の名著 必読書50

読書とはいいものである。ときには新しい学びを得ることができるだけではなく、読めば読むほど本の内容に対して自分がどう考えたのかという思考の塊になるのだから。特に名著はそれを何倍にも引き立たせてくれる。名著、日本の名著と言うと数多くあるが、本書はその中から選りすぐりの50冊をピックアップしている。しかも本書を通して一人前の自分に自立するためにどのような本を読めばいいのかというのを5つのカテゴリに分けて紹介しており、しかも面白いことに「チェックリスト」まで付いているのだから、名著集としては珍しく「読了即実践」が可能な一冊である。ただ「読了即実践」の実践は名著を読むということなので「実践」と言うとちょっと不自然かもしれない。

1.「自分を知るために」
自分を知るというのはなかなか難しい。自分を知るというと「哲学」や「心理学」と言ったものがあるが、本章では芥川龍之介、西田幾多郎、正岡子規、夏目漱石と言った文豪から、古典で言うと吉田兼好、親鸞などを上げている。ちなみに本書では読書の紹介ばかりでなく、あらすじや読みどころと明言も紹介されているため、読みたいという願望を引き立たせてくれる。
ちなみに本章は10冊紹介されているが、その中で私が読んだのは5冊。まだまだ読んでおかなくてはならない作品が多いということを痛感する。

2.「人間を知るために」
次は人間とは一体何なのかということを教えてくれる10冊を紹介している。
「金色夜叉」や「武士道」「雨月物語」「源氏物語」と言った作品が本章では取り上げられている。
ここでは10冊中7冊と言ったところ。

3.「社会を知るために」
読むべき本がずらりと並んでいるのが本書であるが、残念ながら本章で紹介された本は「土佐日記」の一冊しか読んだことがない。梅棹忠夫や丸山眞男と言った作品は知ってはいるが読んだことはないので読んでおきたいところである。

4.「歴史を知るために」
次は歴史であるがここでは「平家物語」や「古事記」が出ているのだが、それ以上に井伏鱒二や柳田國男と言った作品も取り上げられている。

5.「自然を知るために」
松尾芭蕉の「奥の細道」や清少納言の「枕草子」などが取り上げられている。

50冊取り上げられているが古典ばかりではなく、割と最近出版された作品もある。選りすぐりではあるが、古典ばかりで取っつきにくいと思った人でも大丈夫なように本の選定もなされている。
夏の暑い時期、クーラーで涼みながら読書をするとき、本書を基準に選んでみてはどうか。