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2009年7月

教養脳を磨く!

教養というのは、知識を自分の思考でもって落とし込んで、新しい考え方を身につけるというような手法である。本書はイギリスにおいて「知のカルチャーショック」というのを受けた2人が新しい「教養」について縦横無尽に対談を行っている。 序章「教養という可能無限」 脳科学者の茂木氏がイギリスで体験したこと、そして「教養」に関する可能性について書かれたところである。そして対談の相手である林氏への印象と対談での感触 […]

使える!ギリシャ神話

ギリシャ神話はこれまで1冊しか取り上げておらずどのような神がいるのかというのはゼウスやヘラというようなギリシャについてあまり知らなくても名前だけであればわかるというようなところまでしか知らなかった。ギリシャ神話は宗教を超えて幾千年もの年月を経て語り継がれており、日本神話やローマ神話と双璧をなす、というよりも超えるほどの神話である。 本書のタイトルのようにこの神話がビジネスに使えるというのだから驚き […]

怪異の風景学―妖怪文化の民俗地理

梅雨が明けるといよいよ夏本番である。うだる様な灼熱地獄が来るのかというと嫌になる今日この頃であるが、そんな暑さを吹き飛ばすものとして代表されるのが怖い話と言った怪談である。怪談と言うと稲川淳二や小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)というのが思い浮かべると思うが、アニメや漫画、映画やドラマを問わず、怪談話というのは枚挙に暇がない。 また怪談に関する民俗学もいくつか出されており、怪談と最近の日本文化という […]

麻薬とは何か―「禁断の果実」五千年史

また大麻所持事件が起こった。 大麻に関する事件は去年・今年だけでもTVやインターネットニュースにおいてみない日と言うのが珍しいくらいにまでなった。大麻については覚せい剤と同じく精神に異常をきたす「ドラッグ」として扱われ、法律では「大麻取締法(正式には「麻薬及び向精神薬取締法」)」が制定されており、厳しく問いしまっているのが現状である。学術的な研究でも毒性や精神依存性について強く、生活に支障をきたす […]

ドイツ現代史の正しい見方

ドイツにまつわる歴史について様々な議論があり、日本における「歴史認識問題」とほぼ似ているような状況にある。第二次世界大戦が終焉して今年で64年を迎える今、20世紀のドイツの歴史についてどのようなものであったか、ドイツを代表する歴史著述家、セバスチャン・ハフナーが紐解いた一冊である。 第1章「ローマ帝国の巨大な遺産」 ローマ帝国が滅びた年は諸説が多いが、最も遅いもので1806年というのがある。ローマ […]

広告と生きる―私の履歴書

本書は2008年8月1日〜31日まで日本経済新聞において連載した「私の履歴書」を加筆したものである。 電通を一筋55年勤めあげ、広告とともに生きている著者による回顧録である。55年もの間広告をどのようにみてきたのだろうか、電通マンとしてどのように生きたのだろうかなどの生涯についてたっぷりと書かれている。 第1章「喧嘩と野球の浪人生活」 著者は1929年に京城府(現在のソウル市)で生まれ、16年間そ […]

アメリカの終わり

昨年の10月にリーマン・ブラザーズ倒産によって急速に、かつ世界的に景気が後退した。特にアメリカの経済の減速は凄まじいものがあり、「ドル危機」まで言われるようになった。さらに今年はかつて世界一の自動車メーカーとして名をはせたゼネラル・モーターズ(GM)が「チャプター11(日本で言う「民事再生法」)」を適用し、事実上破産した。これから再建に向けて動き出す。 本書は経済的な終わりというよりも「イラク戦争 […]

「死の美学化」に抗する―『平家物語』の語り方

「日本は死者の国である」 もう何回言ったのかわからないが、怪談話で知られる小泉八雲ことラフカディオ・ハーンの言葉である。 日本では死んだら宗教によるが、通夜・葬儀を経て墓に送り、そこから一周忌・三回忌・七回忌…というように供養を重ねていく。これほどまで死者に対して礼をつくした宗教は少ないように思える。 さらに日本の文化には「死」というのを題材にした作品も少なくない。「死」というのを考えさせられるば […]

ラークライズ

本書の著者であるフローラ・トンプソンの自伝的フィクションであり1939年に刊行された作品である。 ちなみに本書のほかにも「キャンドルフォードへ」や「キャンドルフォード・グリーン」とあわせて3部作として1冊にまとめられた作品があり、それによって彼女は名声を確固たるものとした。 有名な3部作の1作目に当たる本書は、自らの少女時代は貧しいながらも喜びも悲しみにも感情に満ち溢れた物語であり、著者自身の体験 […]