3年間は「言いなり」になりなさい

私は社会人2年目である。1年目よりは右や左は分かるが上や下、斜めまでは分からないという時である。その中でどのような仕事をしたらいいのかというのは分かるが、いざ仕事をするとなるとその中で自分の仕事ができる範囲と言うのは限られてくる(職場環境にもよるが)。社会人としての前半戦をより楽しく、より多く学ぶにはどうしたらいいのか。本書では3年間「言いなり」になるということを推奨している。今や雇用が安定しない時代であり、「主張」する人が多くなり、それを進める本も数々出てきた中、「あえて「逆」を行く」ような、本はめったに見当たらない。「言いなり」と言うと「イエスマン」という古い風潮を思い出させるようだが、本書の言う「いいなり」はそうではなく、いいなりになりながらも自分の意見や考えを育ませる、型にはまりながら、その中で新しい方法を考える、というようなものを言っている。では本書の中身を見てみよう。

1章「相手のニーズを探る嗅覚を磨け」
本章では主に人脈術といったところであるが、その人脈を気付かせるための営業法・会話術といった所と言える。話をするにしても聞くにしても相手にとって得になるような情報を供給する。そのことが本章の狙いである。

2章「他人脳で発想するための目と耳の鍛え方」
3年間は技術や知識を得るとはいえまだ半人前…4分の1人前と言うべきか。年がたつにつれ技術や経験を積んでいくとはいえまだまだ限られる。そこで本章では「他人脳」を使えということである。
話は変わるが本章の最初にはパーティー事件のことが書かれていた。社会人2年目の若輩者である私だが、入社して配属で東京に引っ越した。22年もの間北海道に住んでいたためか、東京は別世界であった。ただ自分自身勉強したいという思いが強く、夏場からセミナーに参加するようになった。様々なセミナーに参加しては異業種の人たちと交流するようになった。自分自身まだ社会の海に旅立ったばかり、しかも友人もいない東京でどうしたらいいのか分からなくなった、という考えはあったモノの、むしろ開き直っていっそいろいろと言ってみようという気になった。今ではこんなになってしまったが。
本章では、コミュニケーションから叱られ上手まで書かれている。

3章「人間関係の九割は会話術」
そういえばどこかのセミナーか本で、「これからは、「人」持ちの時代である」と言っていた人がいた。「人」持ちとは召使いを持つとかではなく、人脈を持つということである。昨年は数多くの人脈本が発売され、ベストセラーになった物もある。精神的なものから、メールや手紙の出し方といった細かいものに至るまでピンからキリまで存在するのだが、どちらにせよ、人間関係の構築と言うのはこれから重宝される。
ではこの人間関係を構築するためにはどうするか、「会話」を磨くことである。つかみから謝り方に、聞き方に至るまで「会話」を磨くことによって、人間関係を構築させることができるという。
会話と言うのは非常に大事だなとつくづく思うのだが、これがなかなか曲者で、身につけにくいというデメリットがある。しかし根気よく磨いていけばやがて石が珠になる。珠になれば大きな武器となる。

4章「ストレスフリーな仕事術」
ようやく本書のタイトルにちなんだものが出てきた。仕事はいざやってみないと分からないものであり、さらに社会の中でどのようなポジションに就きたいのか、何をしていきたいのか早いうちに決めるべきだという意見も多い。しかし右も左もわからない時分は考えろといったって何をやっていけばいいのか分からないというのがオチである。まず3年間はいいなりとなって無我夢中でいろいろな仕事をやったらいいと著者は主張しているが、私もまさにその通りだと思う。

大学4年まで社会の「社」と言う字も知らなかった時分は何があるのだろうと夢と希望と不安を胸に膨らませながら「あれしたい」「これしたい」と言うのを考えてきただろう。しかしいざ社会に入ってみると、何をしたらいいのか分からなくなった人もいるだろう。事実、私も同じだった。そういったときはまず一通りどのような仕事があるのか、言われてそしてどのように役に立つのか、と言うのを実際に手を動かしながら考える。それの繰り返しによって基礎を築いていくことが大切なのだと私は考える。