「R25」のつくりかた

R25」と言えば私たちの世代の中ではもっとも読まれているフリーペーパーの一つである。ちなみにリクルートから刊行されているものであり、同様に読まれているものとして「ホットペッパー」という居酒屋やレストランの情報誌がある。ちなみに「R25」は2004年7月1日に創刊されてから今年で5年を迎える節目である。本書はこの「R25」の作り方の仕組みについて迫った一冊である。

第1章「少人数の組織で「業界常識」に立ち向かう」
リクルートと言えば新規事業開発を始め様々な情報を発信する企業として有名である。就職活動でも非常に人気の企業であり、常に上位に入る企業で、チャレンジングな社風が魅力的だと考え就職志望をする新卒学生も多い。
今もそうだが、創刊前後当時もまたインターネットの時代と言われており、紙媒体はそれほど注目されなくなった時代である。にもかかわらず、あえて時代を逆行すると言うような、「あえて「逆」を行く」と言う構想が実現しようとしていたと言うところについて書かれている。
活字を読まない年齢層に「あえて」活字を送り込む。一見無謀のように思えるが、そこには「競争」という名の「血」が消えた「ブルーオーシャン」がある。プロジェクトメンバーはそう考えたのかもしれない。

第2章「M1層はホンネで語ってくれない」
「M1層」はちょうど私の年齢前後に相当する(20〜34歳)。そのあたりの世代はあまり自分やその周り以外に関心が無く、新聞も読まず、TVもバラエティ番組しか見ないという、あまりにも短絡的な定説が罷り通っている悲しい現実がある。
著者らはM1層に対してどのような傾向にあるのかという事についてグループインタビューを行ったことについて書かれている。M1層は本音ではなしてくれなかった現実についてグループインタビューを通じて書かれていた。なぜそうさせてしまっているのかというのは、私自身教育の問題、「他人から評価される」事への恐怖感というのが強く気にしている世代なのかなと考える。

第3章「M1層にあわせた記事づくり&配布作戦」
M1層は自分や友人のことで忙しい世代であり、新聞などの情報収集をあまり行わない。行っていたとしても、インターネットを利用して収集しているというケースが多いような世代にどのようにしてフリーペーパーを読んでいただけるのか、というのが大きな課題として重くのしかかった。M1層のたまに情報はどのようにして流せばよいのか、形式や方法、文体やコンセプトに至るまで試行錯誤を繰り返しながら「R25」の色を形成していった。

第4章「世の中のちょっとだけ先を行く発想術」
こういう世代でありながら私は「R25」を1度も読んだことがない。情報収集はインターネットですませ、考察といったものは本ですませるため、「R25」を読む必要がなかったからであった。しかし本書を読んでいくうちに読んでいない私でも「R25」の知られざる魅力がよくわかるため是非1度、読んでみようとも思った。
特に理由が無くてもついつい手にとって読んでしまう「R25」。これで取り上げられたことによりブームになったものや事は少なくない。ここではこのコンテンツを生み出す会技術について取り上げられている。特にアイデアを出す会議といったものに当たるだろう。ブレーンストーミングなどの技術も提唱されており、最近ではそれに関する本も取り上げられているが、本章では心得といったところを中心にとらえられているように思える。

第5章「M1世代とM1商材を結びつける」
R25だからでこその人間とそれを対象にした商品といった「商材」を結びつけるためにはどうしたらいいのかというところが本章でいうところである。人とモノの架け橋として大きな役割を持つ「R25」だからでこそ持つ、永遠の課題といえる。

第6章「さらにビジネスを広げるために」
大きなセンセーショナルを巻き起こした「R25」を機軸に数多く野路業を広げていった。一番有名なものとしては「R25」の女性版「L25」が創刊され、「R25」自身も年に数回特別号を出すというようなことを行っている。さらにWeb事業にも乗り出しておりこれから、もう一つ旋風を巻き起こすような様相である。

「R25」に限らずブームを巻き起こした情報誌やモノは和夫奥の逆風に立ち向かいながら作られていったというのは紛れもない事実である。
「チャレンジをすること」
そのことを本書は教えてくれる。