なぜ飼い犬に手をかまれるのか

「飼い犬に手をかまれる」となると犬と飼い主の信頼関係が成り立たず、ましてや上下関係が飼い犬の方が上という状態に陥っている証拠である…と言いたいところだが、事実私は犬を飼ったことがないので「飼い犬に手をかまれる」と言われてもピンとこないが、ある程度は理解できる。実家にオカメインコを飼っているくらいである。その「ある程度理解できる」といったのはこのオカメインコのせいかもしれない。指を近づけようとするならその指を攻撃しようとする。しかも冬場はこたつの中で暴れ、足の指を怪我したことさえある。凶暴なのかと思いきや実に人間くさく、自分も取りと思っていないのだから変なオカメインコだなとつくづく思う。
私情はさておき、本書は犬に限らず、様々な生物の心理について迫っている。

第1章「動物たち それぞれの世界」
ちなみに言っておくと本書は、動物の生態について疑問に思いながらも一つ一つ解決するというエッセイ集である。また本書はそれぞれの新聞で連載をもっていたものを単行本化したものであり、本章は中日新聞の連載(2001年初頭〜2003年末)をまとめたものである。
著者は少年時代から様々な動物に興味を持ち、それがきっかけとなり昆虫学者・動物行動学者の道を志したのだろう。

第2章「動物の言い分、私たちの言い分」
本章は京都新聞の「天眼」というコラムに連載されたもの(2005年2月〜2007年7月)をまとめている。前書きにも書いてあるが論説色が強いところであったため、動物よりも時事的な事柄をリンクしながら書いてある。時事的なことに興味を持つ人でも、虫などの動物に興味を持ち始めることができ、元々興味を持っている人でも時事的なことが等も絡んでいるため、時事的なこととにも興味を持つことができる。「一石二鳥」のコラムと私は思う。

「昆虫学」や「動物学」としての考察であくが強くなりやすいのだが、本書はエッセイ集となっているためそのようなものはほとんどない。むしろ著者の興味をありのまま書かれている印象だった。それだけに動物や虫をお歌の示唆というのがありありと伝わってくる一冊である。