あなたにもわかる相対性理論

株式会社オトバンク 上田渉様より献本御礼。
20世紀最大の科学者と言われるアルベルト・アインシュタイン。とりわけ「相対性理論」は後の物理学に大きな影響を与えた。しかしその物理学についてさわりしかわからない私たちにとって「相対性理論」というと言葉だけはわかるが、実際の中身はどうなのかわからない。論文を見てもちんぷんかんぷんなところが多い。本書は脳科学者である茂木健一郎氏が相対性理論の中身を解き明かしながら、分かりやすく解説している。

第1章「相対性理論が生まれた背景」
本章ではアインシュタインの生き方を「アインシュタイン力」と名付けて彼の生き方と物理学の歴史について書かれている。
アインシュタイン以前の物理学で有名な人物と言えば、本書ではガリレオ・ガリレイ(地動説が有名)、アイザック・ニュートンが有名である。しかしニュートンが物理学の常識を覆してから約240年もの間それに変わる革命的な研究や理論が発表されなかった。しかし上記のことに関して批判をしていた学者もいた。その代表各としてエルンスト・マッハが本書では紹介されている。アインシュタインはこのマッハの批判に衝撃を覚え、「相対性理論」の礎を築いた。

第2章「相対性理論は何の扉を開けたのか」
アインシュタインの生きざまの続きである。物理学に関しての研究は早い時期、16歳の時からもうすでに始まっていた。しかしアインシュタインの研究は一つの事柄について、何十年もの時をかけて行うものであり、他の研究者ではまねできないほどねばり強かったという。
また物事に対して平等に見る力もあったが、本章で非かかったのは「ユーモア」に関してである。アインシュタインは元々人前では笑わない人であった。有名な舌を出す写真は実は笑顔をとるときに笑顔になりそうだったが、とっさに隠そうとして舌を出したという(本人は非常に気に入っており焼き増しを頼んだという話もある)。

第3章「アインシュタインのロマンと相対性理論」
アインシュタインの研究は非常に有名なものであったが、それに関して、賞賛される言葉があったり、批判するようなものまで数多かったと言われている。しかしアインシュタインは自らの研究に確信を持ちながら没頭し、友人等に支えられ、「相対性理論」が生まれた。

第4章「相対性理論が導くワンダーランド」
ここから2章は相対性理論の中身を解説している。ガリレイの「相対性原理」やニュートンの「ニュートン力学」との違い、時間との関係、空間との関係をも絡めて力学を定義したものである。

第5章「認識論としての相対性理論」
「相対性理論」は従来の力学の枠を越え、時間、光、宇宙に至るまであらゆるところに影響を与えた。著者はそれを音楽に準えながらアインシュタインの偉大さを述べている。
力学のみならず、科学そのものの根底を覆した「相対性理論」が、より身近な角度からとらえられている。相対性理論については様々な解説書・入門書が存在しているが、音楽やアインシュタインの人生、それ以前の物理の歴史を絡めながら書かれていると自分としてはなかなかおもしろいと感じる。