裸でも生きる2 Keep Walking私は歩き続ける

株式会社オトバンク 上田渉様より献本御礼
本書は「裸でも生きる」の続編であり、著者がバングラデシュで更なる葛藤、そしてバングラデシュを離れ、ネパールに移り、また事業を興すという話である。前書「裸でも生きる」からの3年間の生きざまをまとめたものである。

第1章「情熱の先にあるもの」
最初にも書いたとおり本書は一昨年に東京の下町にてバングラデシュ発のブランド直営店を回転させたところから始まる。
ブランドものが並ぶ店にしては下町であるため的さないところであるが、発展途上国から生まれたブランドであること、江戸情緒あふれる人情によって生まれ、育まれるということを考えてここでオープンしたという。
「バングラデシュ発」が大いに反響を生み新聞・雑誌・TVにと大活躍をした。
その矢先にバングラデシュでサイクロンによる被害が相次ぎ、復興援助も著者は行った。
さらに著者の夢であったデパートの一角に直営店を回転させ、順風満帆と言われるようになった。

第2章「バングラデシュ、試練をバネにして」
しかし、バングラデシュにおいて、自ら始めた工場が退去通告されるという報せがあった。当然反発はしたが、賄賂が横行し腐敗しきっていたバングラデシュではムダという他なかった。
それでもめげずに新しい工場を探すが、その中で仲間たちが辞めて行くということもあった。バングラデシュの現場は他と違い、「社員」というよりも「家族」という感じが強かった。一つになってバングラデシュ発のブランドを築き上げようという力が強いように思えた。そこから「辞める」というのだから悲しみは強い。

第3章「チームマザーハウスの仲間たち」
バングラデシュで育ったマザーハウスはまさに「家族」であり「仲間」であるという。マザーハウスで働いている魅力、そして新たにチャレンジをしていく希望と勇気がそこにあるというのを伝えるところである。

第4章「そして第2の国ネパールへ」
マザーハウスはバングラデシュだけではなくネパールでも新たに生産の場を設けることになった。
ネパールは中国のチベット自治区に接する細長い国で、世界最高峰の山エベレスト(チョモランマ)のあるヒマラヤ山脈に位置している。中国ばかりでなく、インドとも接しているため多民族・多言語・多宗教国家でも有名である。国家としては2006年まで君主制であったが、民主化運動により民主国家となり、翌々年に初となる大統領選挙が行われた。民主化の歴史はまだ浅く試行錯誤の状態が続いている。
著者がネパールに訪れたのは2008・09年辺りであろう。その時は先に書いたように初の選挙であったが、民主化の息吹は始まったばかりのせいか、政局などが混乱しており、抗議運動は後を絶たない状態であった。その中で著者はネパール独特の織物に出会い、新たなバッグの製作にも取り掛かった。

第5章「ネパール、絶望と再生の果てに」
ネパールでもバングラデシュと同じく「裏切り」は待っていた。それも誕生したばかりでありながら、新たなバッグ製作工場ができた最中に。それでもひたむきに製作をし、今年の9月に「マイディガル」というブランドを誕生させた。

2007年にバングラデシュ発のブランドを完成させたが、それでも満足せずただひたむきに歩み続ける著者の姿がそこにあった。これからバングラデシュ・ネパール以外にも様々な国で事業を興すのかもしれない。それがどこの国になるのか、そして新たな発見・成長があるのか…見守っていきたいと思う。