乳豚ロック

「ロック」と言えば今年「ロックンロールボス」と称される矢沢永吉が還暦を迎えた。還暦を記念して様々なロックフェスに参加したり、ライブに参加したりと還暦を感じさせない、むしろ還暦を喜ぶかのように、YAZAWAロックを邁進している。

「ロック」という言葉、そしてそれをかもす世界は言葉では言い表せない高揚感と不思議さがある。

その高揚感と不思議さに可笑しさを加えた感じがしているのが本書である。

本書はロックの聖地であるイギリスで起こる関西弁ストーリーというべきだろうか。読んでいてあまりのおかしさに、馬鹿馬鹿しくなってきてしまった。しかしその馬鹿馬鹿しさが良い意味で妙な高揚感があり、明日からがんばれるという力がある。誰しも生き方を見失うときがある。その時に馬鹿馬鹿しさの漂う本書を読んだら、その見失った苦しみが馬鹿らしくなり明るくなってしまうように思える。そんな一冊である。

著者は大阪府出身で、バンド活動を続け、40代でイギリスロンドンの生活を続けている。本書は実体験をもとに書かれた作品であるのだが、ここまで可笑しく書かれたのは実体験なのか、それとも小説用のフィクションなのか、首をかしげてしまう。