お金の才能

「節約は貧乏への最短コース」という帯紙、およびまえがきに書かれている。「節約」は確かに行うべきことであるが、それをやりすぎることによって吝嗇化(ケチになること)し、心も吝嗇化してしまう。

そうでなくても、お金の使い方というと「節約」といってことだけに走ってしまう人が多い。また資産運用に関しても「株」や「投資」ばかりに目がいってしまうという人も多いようである。

本書はお金の稼ぎ方、ではなく本当の「使い方」について書かれた一冊である。

第1章「お金を貯める才能」
お金を貯めるというとみなさんはどのようなことを想像するのだろうか。恐らく「使わない」や「節約する」ことに走る。しかし、それだけではお金を貯めることができない。まず自分の働いている時給を知り、生活をできる限り押さえることにあるが、著者は「極貧生活」を経験することが大事であるという。
これに関しては私自身大きく同感と感じており、同時に大学時代の極貧生活も体験していたため、現在の生活もそれに合わせている。「大学時代の極貧生活」とはいっても主食活動中の時であり、そのときは電車・飛行機などの交通費を捻出するために食費をぎりぎりまで抑えた。
生活費は「変動費」になり、抑えやすいのだが、「住居費」などの費用は「固定費」となる。もっとも良い「節約」、それは「固定費」をいかに抑えるのかにかかっている。

第2章「情報を読み説きお金をコントロールする才能」
お金を使う、貯める、増やす為には様々な情報が必要である。その情報を自分自身で解釈をし、それを利用して、お金を「コントロール」をする。本章では「仮説を立てる」「10手先を読む」というようなことがかかれているが、これは総合をすると、お金の「大局観」を持つことが大事といえる。
将棋や囲碁の棋士はあらかじめ得た定跡や定石、棋譜をもとに仮説や戦略を立てる。これに関しては何もないところから解釈をすることはできないので、日頃から問題意識を持ったりすることによって鍛えるしかない。

第3章「お金を上手に増やす才能」
お金を増やす方法は様々なものがある。しかし多くの人は、給料を増やすということばかり考えているかもしれないが、本章では「収入の複線(分散)化」「不労所得」などが挙げられるが、本章では「株式」「不動産」などが挙げられる。特に後者はこの本からわかるとおり、著者のテリトリーといえる。

第4章「お金をかしこく使う才能」
お金はツールであるが、このツールは使い方を間違えると、「お金に振り回される」ことになりかねない。節約をした金はどのように使うべきかということについて書かれている。
主に「自己投資」についてであるが、本を読む、セミナーに行くばかりではなく、ワンランク上の体験をする、旅をするなどがある。
また他人のためにお金を使うことも挙げられている。

第5章「お金をたくさん稼ぐ才能」
日本はまさに「不況」をも呼ばれているが、それ以上に好況に向けてどれだけ力を付けられるかということが肝心である。そして自分自身の考える力によって所得を得ることのできる時代がくると著者は主張している。「考える力」がお金になるというと、文章や会話といったものがあげられている。

「お金を使う」勉強はそれほど多くない。しかしお金は稼いでも自分の質を高めるために、そして他人を幸せにするために使わなければ、お金のファンクションは成り立たない。本書は「お金」はどうすべきかを導いてくれる道標の一つである。