銀座ママ麗子のマーケティング事件簿

マーケティングの世界はなかなか奥が深い。大学によってはマーケティングにまつわる研究も行っているのだが、机上の研究と、現場における実践にはいくらかの差異が生じることがある。とはいえ実際の企業をベースにして考えられた学問であるため、実学とも合わさっていることも多く、それらを教えている教授の中には一度でも社会に出て働いたことのある「実務家教員」と呼ばれる教員がいる。

大学におけるマーケティングの話はここまでにしておいて、本書に出てくる麗子は外資系コンサルティングファーム新居竹井県があるという噂があるという。彼女とあるプロジェクトとともに、「マーケティング」とは何かをひもといていくのが本書である。

第1章「相手のことを考える」
マーケティングの基本にはターゲットを絞る、もしくはどの欲求があるのか調べるために「リサーチ」をする。それをやることによってターゲットを絞り、商品開発、売り込みといったアプローチが行われる。その中にも「仮説を立てる」といったことがあり、ある種のラブレターや告白にも似ている。
本書は現場の他に銀座のクラブが舞台になっている。このクラブでもターゲットを絞ったり、コミュニケーションを行うにしてもアプローチが重要になってくるところを考えるとクラブもマーケティングが通じると言える。

第2章「相手に近づく」
本章の冒頭の「事実・真実・現実」にはやられた。しかし考えてみると、現場の真実や現実、事実を鑑みてそこからどうアプローチをしていくか、フォローをしていくかということを組み立てていく。仮説ばかりにとらわれず、そのターゲットがどのような状況なのかを「見る」ことにより、相手との距離を近づけていく。

第3章「相手と話す」
「人は勘定よりも感情で動く」という本がある。損得勘定や論理といったモノは確かに考える上で一助となるが、それだけでは成り立たない。結局人間は動物であり、感情がある。その感情を相手に言葉でもってぶつけ、対話することによって相手との距離を近づけさせ、相手の欲求を知る。そして応える。

第4章「相手の望みを予測する」
さてリサーチを終えたら、ターゲットなどを予測する。予測すると言ってもマーケティングの手法には「AIDMA」と呼ばれる用語がある。これは経営を行う上での要素の頭文字をとったものであり、

「Attention(注意)」
「Interest(興味)」
「Desire(欲求)」
「Memory(記憶)」
「Action(行動)」

に分けられる。しかし現在では「モノ」より「コト」にマーケティングはシフトしている。そのことから「M」や「A(Attention)」、「I」は「コト」ではないため、それに代わる新たなものができる。ことをシンパシーを得たり、同調したり、そして事を得ることによって「満足をする」。行動をすることよりも満足を得ることがサイクルの最後にくる。それらをまとめると、

「Sympathy(シンパシー)」
「Desire(欲求)」
「Agree(同意)」
「Action(行動)」
「Satisfaction(満足)」

の頭文字をとった「SDAAS」となる。「スダース」と読むことができる。

第5章「相手への愛を共感する」
「愛を共感する」とは一体どのようなことか。簡単に言うと「フィードバック」がそれに当たる。マーケティングに限らず様々な行動や活動には良かった点や改善点を得ることができる。その中で次のサイクルに向けてどのように生かすのか鍵となる。

第6章「相手に愛を伝える」
本書を通じてマーケティングとは何かというのを繰り返し語っているのが「愛」である。当然その愛のなかには様々なアプローチやリサーチといったものも存在するが、最終的に「愛」であるという。

マーケティングに関しての本はいくつか読んだことはあるのだが、本書は読みやすいというよりも作品に引き込まれていくようにマーケティングを学ぶことができる。物語の形で書かれており、かつ従来のこと・新しいことも書かれているため、すんなりと入っていける。