それゆけ!おやじヘルパーズ

昨今は「高齢化」と呼ばれて久しく、定年退職をしても「生きがい」「やりがい」を追い求めて、生涯学習やスポーツ、あるいは職場に復帰をする人と様々である。日本だからでこそ「老人が生き生きとする場」を作ることができる強みの一つなのかもしれない。
本書は「ヘルパー」として日々邁進しているおやじたちの物語である。

第1章「おやじたちはなぜ、介護の世界を目指したのか」
「おやじヘルパーズ」は元官僚、元会社員などすでにリタイアしたおやじたちのグループ5人組である。その男たちがなぜ「ヘルパー」を目指したのか、理由はそれぞれであるが、本章では「おやじヘルパーズ」の5人の紹介にあてられている。
特に蟻ベエのエピソードは印象的だった。

第2章「「ホームヘルパー二級講座」で会った五人の侍」
5人は「ホームヘルパー二級講座」で初めて出会った。
ホームヘルパー二級講座は主に介護とは何か、サービスの利用者やどのようなことをやるのかといった概要から、ヘルパーとして基礎的な介護技術を取得する、そして実際の場で短期間の実習を経て、晴れて資格を得ることができる。
おやじたちはこの講座で、介護の基礎について様々なことを学び、学んだ後の居酒屋で話し込むうちに5人の距離はだんだん近づいてきた。

第3章「当たって砕けろ!「アラウンド還暦」の就職活動」
一昨年の流行語として「アラサー」や「アラフォー」というのがあったが、本章の「アラウンド還暦」もその一つかもしれない。略して「アラカン」。しかし「アラカン」というと時代劇に詳しい人だと嵐寛壽郎を思い浮かべることだろう。
それはさておき、ヘルパーといっても様々な類があり、「ガイドヘルパー」や「ホームヘルパー」、「介護タクシー運転手」など枚挙に暇がない。本章ではおやじたちの就職までのプロセスについて書かれている。

第4章「体力の続く限り役立つおやじであり続けたい」
介護の現場は私自身、余りよくわからないのだが、大学の時TVでは「過酷」という印象を受けた。しかし現在私の住んでいるマンションの近くに老人ホームがあるのだが、入居者とヘルパーの様子を見ると、ヘルパーはやりがいを、入居者は幸せを見いだしている印象だった。
本章では、おやじたちは介護を通じて「やりがい」を見いだしているようだった。

第5章「男たちよ、書類を捨てよ! 介護現場へ出よう」
ヘルパーの勉強は「ヘルパー二級講座」で最初に学ぶのだが、これは基礎的なもの、あるいは理論的なものであり、実践的なものは実際に介護を行うことによって身につくものばかりではなく、講習会や勉強会で情報やノウハウを共有することによって、様々な知識や経験を得ていく。「おやじヘルパーズ」は様々な場で学びながらも結束を深めていった。

「団塊の世代」と呼ばれる世代のリタイアが相次いでいる。その中で「生き甲斐」や「働きがい」を求めて、生涯学習や生涯スポーツを楽しむだけではなく、働ける場に戻ることも少なくない。本書は、これからの介護現場、団塊の世代たちのこれからを写しだした一冊だと私は思った。