サラリーマンの僕が35歳で資産3億円つくった方法

著者の鳥居様より献本御礼。
昨今のサラリーマンの労働状況、賃金状況は厳しくなっている。とりわけ賃金は「失われた10年」を脱した後もサラリーマンの平均給与は右肩下がりであり、一昨年の急激な景気減退がそれに拍車をかけている。そのときだからでこそできることといえば「副業」も一つにあげられている。というのは東芝などの大企業でも今まで就業規則で禁止になっていた副業を許可するようになった。企業も社員を養いきれなくなった現れであるとともに、サラリーマンでありながら、「私らしく生き」「私らしく稼ぐ」スタイルに変化していっている。本書は株に不動産に週末企業にと行ったサラリーマンが稼ぐ方法について書かれている。

「お金持ちしか知らないお金を引き寄せるルール」
金持ちと普通の人には「お金の使い方」の違いがあった。金持ちは「株」や「不動産」に「投資」を行い、金を出すことにより、金を働かせ、稼ぐ。しかし普通の人というとお金を稼ぐとなると「働いて稼ぐ」の他に「宝くじを買う」ことに走る。宝くじは1枚の値段が大体100〜300円とリーズナブルのように思え、かつ「夢」を買うということで「消費」という意識を生ませない。しかし数学的な期待値が競馬や株式投資よりもずっと低い。なぜかというとおそらく「依存性」もしくは「連続性」にあるのかもしれない。
競馬や投資は一度味をしめると連続的に馬券を買ったり投資をしたりすることが多く、それによって理性を失ってしまいとめどなく消費が増大してしまう。一方宝くじは季節的であり、かつ毎日何度もあるわけではなく、さらに当たるまで時間がかかることも挙げられるため、その分節度がきく。その要因から宝くじに走る人が多いのではないかと思う。
話がそれてしまったが、投資にしても「戦略的」に行えば「宝くじ」という運だめしに走らず確実に儲けることができる。頭を使うが「複利」の知識があれば福が来る。すなわち「福利」がくるわけである。

PART1「自分と同じ年収を稼ぐ、もう1人の自分を作る方法をお教えしましょう」
自分と同じ年収を「確実」につくるためにはどうしたらいいのかということであるが、ここでは「投資全体」についてを解説している。言わば「投資の総論」というべきだろう「投資」というとギャンブルだと思い込む人が多いのだが、本来の「投資」は雑務よりも単調でつまらないという。というのは「一獲千金」を目的とせず、種金を使って少しずつ稼ぐ、複利を使って稼ぐことが肝心であるという。
「1億円稼ぐ」ための必要な時間も年利率と投資額のマトリックスを引き合いに出して説明されているので自分なりの投資を考える一助になる。

PART2「株から、僕の投資ライフははじまった」
確実にもうかる株というのは本当にあるのだろうか。実はあるという。ヒントはIPOである。これ以上は言う必要ないだろう。
投資を億劫にさせるのは何も儲けるといったことばかりではない。最近でもあるのが投資の勧誘広告である。年○%は確実に儲けられるというのがあるのだが、但し書きの細かい字を見逃して損をしてしまうこともある。それを避けるためにある程度の知識と全て読む力を持っていればそれに越したことはない。

PART3「シマスエ流月70万円得られる不動産投資のやり方」
次は「不動産投資」である。金を稼ぐ、金持ちになるために「借金」をする。不動産投資をするためには種金が多く必要なため、いくらか借金をする必要があることが多い。「不動産投資」のプロフェッショナルである午堂登紀雄氏も3億円の資産を持つが2億円の借金はあるという。午堂氏は立地条件が重点的であるのだが、本章では「間取り」「築年数」など多岐にわたる。簡単に言うと、本書が提唱する不動産投資は「物件の質」が基軸にあるようだ。

PART4「サラリーマンだからこそできる“夕方から”飲食店経営」
「仕組み作り」「副業」として飲食店経営をする人は急激ではないものの増えている。飲食店の経営というと様々な面で億劫になりがちであるが、いったん稼ぐ仕組みが構築されると利回りもよく、チャレンジングな「投資」はない。ちなみに億劫な面もある程度学んだり、共有したりするために「週末飲食オーナー倶楽部」が誕生しているため、一人でやるよりもずっとやりやすくなった。ちなみに著者は「週末飲食オーナー倶楽部」の副代表を務めている。株式や不動産の投資以外で焦点を当てた所以がそこにあるのかもしれない。

PART5「シマスエ流お金の入り口がどんどん増える仕組み」
「収入の複線化」
これは昨年、「週末起業」でベストセラーとなった藤井孝一氏が「収入複線化マニュアル」を上梓したことを思い出す。よりお金を稼ぐ、お金持ちになるために「複線化」をするだけではない。明日会社にいられなくなる可能性が少なからずあるご時世に、複線化をすることで失業のリスクを低減させることも一役買うことができる。

著者は様々な収益の複線化をしたことにより、サラリーマンだけの年収の何倍もの収入を得ることができた。著者は先の見えない未来のなかで自分は何をできるだろうかは分からない。そのために「収入」よりも何でもやろうという気持ちが強いように思えた。決められたルート、例えば定年までずっとサラリーマン生活で、サラリーマンで働いた分だけしか稼がないのではなく、サラリーマンの身分でも何でもやろうということで拓ける道がある。本書はお金の稼ぎ方、収入の増やし方を前面に出しているが、サラリーマンでありながらも「観点の複線化」もできるということから「収入の複線化」はお金だけではなく様々なことを学ぶことができ、その人にしか得ることができない財産となって蓄積することができる。