欠点を直さずに幸せに生きる方法

著者の斎藤様、及びサンマーク出版 小野様より献本御礼。
著者は「断れない」性格である。しかしその欠点が後に多くのことを気付かせ、独立の道を歩んで行くことができた。上司からのパワハラ、無理矢理マグロ船に乗せられたこと、鬱病、セミナーに莫大な金(約400万円)をかけたこと。その結果、会社において必要な知恵を得ることができ、学びに関しても、人生に関しても、あらゆるものを得ることができた。そしてそれが独立への原動力となったのは現在までの人生が証明している。本書は欠点を「補わない」生き方を、おもしろく、かつ波瀾万丈と言える著者自身の人生を基にして語っている。

その1「「欠点」はひっくり返せば長所になる」
最初にも書いたとおり著者は優柔不断、かつ断れない性格である。それが大きなネックとなり上司からの暴言やマグロ漁船へ強制的に乗せられた経験がある。著者自身も直そうと思ったそうだが、結局治らなかった。そのことによって「直すのはムダ」ということよりも「直さずに長所を伸ばそう」と思ったという。
職場や学校などで「強みを伸ばし欠点を減らそう」の大合唱である。私自身も色々な欠点がある「融通が利かない」「頑固」「落ち着きがない」と言われている。高校から大学の時は直そうと思ったのだが、今では直そうとは全く思わない。それよりも長所を伸ばすことに集中したいと考えている。数多くいる天才の多くは非凡な長所と致命的な欠点をもっているのだから。

その2「人生は「あきらめ」ればラクになる」
「あきらめない」という響きが良いせいなのか、「あきらめる」というのが忌み嫌われているのか分からないが、「あきらめる」という言葉に関して抵抗をもつ人も少なくない。私も「あきらめる」と聞いたり、言ったりすると自己嫌悪に陥ることがある。しかし本章では時には「あきらめる」こと、ネガティブになること、目標をもたないこともまた一つの方法である。本章は巷にあるビジネス書とは逆のことを言っているが、ビジネス書にはまってしまい、「目標をもたなければならない」「実践しなければならない」という「〜ねばならない」の呪縛にかかっている人たちに読ませたいところである。

その3「「思い込み」が足を引っ張る」
自分の限界や長所・短所が出てくることも実は「思い込み」の要素が多いという。他人からの評価も、他人からみた性格も結局は自分、もしくは他人の思い込みや偏見から作られた「虚像」であると考えると、「ほんとうの自分」はいったいどこにあるのだろうかという論題に行き着く。
哲学的な論考はここでは割愛することとして、欠点はなくさなくてはいけない。完璧にならなければいけないという「完璧主義者」は他人からの評価をいちいち気にしてしまい、ついには自分が何をしたいのかわからなくなる、鬱に陥ってしまうことになってしまいかねない。

その4「「運」と「時間」に頼ればうまくいく」
流行や時間に合わせろというような論調もあるが、著者は一番大事なものは「運」であるという。

本書は「成功をする」ための本ではない。「幸せに生きる」ための本である。勝間本とも違い、昨年ベストセラーとなった「しがみつかない生き方」とも違った、力まない、けれども飾らずありのままの自分を表しながら生きていく力を本書は映し出している。本書は著者の生き方そのものを良い方向に映し出しているように思えた。