いちばんやさしいネットワークの本

普段インターネットを行う私たちだが、そのネットワークがどのように動いているのか、理解している人はそう多くない。ネットワークシステムを構成したり、サイトのサービスを提供するシステムの開発者であれば、その技術は少なからずわかる。ちなみに私はSEをやっており、本書で紹介するネットワーク技術は若干ではあるが、理解できる。

本書はあたりまえのようにあるインターネット、ネットワークの裏側を見ていくが、専門用語が多く非常に取っつきにくいのが実情である。しかし本書は初心者にでも理解できるように図を用いながら分かりやすく書かれているため、初心者にお勧めの一冊と言える。

第1章「ネットワークの捉え方を攻略しよう」
みなさんはネットワークについての捉え方についてかかれているが、元々ネットワークは「集合」や「連結」の重なりによって構築された人・モノであるため、システムの世界においても同じ事がいえる。しかしインターネットの世界において、様々な集合体があるが、その中でLANやWANといったものがでてくる。LANであれば最近「無線LAN」といったものが家電店でもでてきていることから馴染み深い言葉であるが、元々LANは会社内・家庭内といった「閉じたネットワーク」のことを表している。一方WANは会社で言う本社・支社間のネットワーク、つまり「限定的に開かれたネットワーク」を表している。
さらにインターネットについては「旅行」と例えて説明されているところが印象的だったと同時に、もともとインターネットについて「電話」や「電車」にたとえて紹介されていたということも思い出した。

第2章「ネットワークを活用する「表舞台」の仕組み <アプリケーション編>」
さてネットワークに入っていくが、まずは外部といったアバウトな部分から入っていく。httpのアドレスの文法から始まっており、wwwの意味(今で言う「笑」ではありません)から、サーバ間のやりとりに至るまで書かれている。
サーバ間のやりとりとあるが、Yahoo!やGoogleといったものも結局はサーバとのやりとりであるが、その規模、そして在処が見えない、もしくは不特定と言うことから「クラウド」と言われている。

第3章「パケットの送り方を制御する「両端」の仕組み <TCP/UDP編>」
本章のタイトルにあるがここから少し初心者には難しい内容になってくる。本章では用語の意味から崩していかないといけない。本章のタイトルにある「TCP」と「UDP」をまず、用語辞典からみてみると、

・「TCP」→ 「インターネットで利用される標準プロトコルで、ネットワーク層のIPと、セッション層以上のプロトコル(HTTP、FTP、SMTP、POPなど)の橋渡しをする。信頼性は高いが転送速度が低いという特徴がある。」
・「UDP」→ 「インターネットで利用される標準プロトコルで、ネットワーク層のIPと、セション層以上のプロトコルの橋渡しをする。転送速度は高いが信頼性が低い。」

(「IT用語辞典」の「TCP」・「UDP」より抜粋)

説明されても何がなんだかわからない人が多いことだろう。しかし本章では、このように説明づけられている。

・「TCP」 → 確実に届ける
・「UDP」 → 素早く届ける

どちらも情報を届けるという意味合いだが、両者は「確実に」と「素早く」ではっきりと違いが理解できる。使い分けの難しい用語であるが、これは見事といえる。

第4章「「中間」でパケットを選ぶ仕組み <IP編>」
中間パケットとして選ぶものとして「IPアドレス」というものがある。これは第3章の「TCP」・「UDP」よりも身近である。というのはネットワークの設定や、HP・ブログを運営している人には、アドレスについて触れる機会があるためである。
ではIPアドレスは簡単にいったらどのようなものになるのかというと、本章では「受け取る住所」として表している。そのまんまかもしれないが、そういった方が分かりやすいように思える。

第5章「「リンク内」でパケットを選ぶ仕組み <データリンク編>」
ネットワークの中でももっとも難しいところである。逆にそれを熟知したらネットワークの8割は理解できたといっても過言ではない。主に、「MACアドレス」「イーサネット」「全二重通信・半二重通信」「CSMA」などが挙げられる。

ネットワークはシステム構築やシステムを勉強する中でも難しい位置づけである。またSEの中でもネットワークエンジニアの位置づけである人もそれほど多くない。ネットワークエンジニアになるための人、SE初心者には最初に読んでおくと良い一冊である。