プレイングマネジャーの教科書―結果を出すためのビジネス・コミュニケーション58の具体策

会社の場において、部や課を管理する立場でありながら、自ら営業や企画、開発に回ったりする人がいる。スポーツの世界ではそれほど多くないプレイングマネジャーも、企業においてプレイングマネジャーになる人は少なくない。人手の少ない会社であればむしろ多数派に回るだろう。

本書はそのようなプレイングマネジャーがどのように仕事や運営を進めていけばいいのか、17年間のサラリーマン生活、そのうち10年以上プレイングマネジャーを行ってきた著者が伝授している。

PART1「気が弱い人ほど「課長業(プレイングマネジャー)」はうまくいく!」
プレイングマネジャーになる人というと連想するのが「課長」である。自らの課を運営するばかりではなく、直属の上司もいれば、部下もいる。言わば板挟みの位置にいる。仕事力ばかりではなく、部下への指導力が問われるのも課長である。それだけに敬遠する人も多いが、最近の著書では前述が問われるだけにやりがいがあるという方もいる。
著者はなりたくない人、やる気がない、なる自身のない人ほど管理職になるべきだと提言している。確かに課長はなってみては分からないし、指導力についても先輩後輩の関係以上に力がつけられやすい。それ以前に自分が課長として適性があるかどうかについて、やってみないと分からないので、なりたくないなど思っているよりもむしろやってみてはいかがか、と考えてしまう。
プレイングマネジャーが求められるスキルとしてコミュニケーション力がある。とりわけプロジェクトにおける根回し、会議や会社の場における場回しについても機転の利いたコミュニケーションが取れるかどうかで結果が大きく変わってくる。プレイングマネジャーは「結果」という所に一番直結しているポジションに置かれているといっても過言ではない

PART2「5秒でできるコミュニケーション! 「初期投資ゼロ」の即効フレーズ」
では求められるコミュニケーションを鍛えるにはどうしたら良いのか。ほんの些細なことである。上司から挨拶をする、上司から部下へいつでも話せる雰囲気をつくる、忙しい場合でも必ず時間をつくる、悪い話でも部下が「報・連・相」できるような状況をつくる、「空気を読め」という言葉が盛んに言われているが、マネジャーは相手の顔色や空気を窺っていくばかりではなく、話しやすく、コミュニケーションを活発にさせる「空気をつくる」役割を担っているのではないかと考える。

PART3「コミュニケーションを仕組み化する」
「仕事の効率化」はとどまることを知らない。コミュニケーションにしても、仕事の進捗ややらなければいけないことについて仕組み化をしていく必要がある。しかし営業や会議、自分の仕事で手いっぱいになりがちで、部下にかまけることができない状態になってしまうことが多い。それを避けるために予めスケジューリングをする、そしてそれを「見える化」することによって、部下や上司はどのような時にその人に口頭で話をすることができるのかが分かる様になる。

PART4「クセモノ& 苦手な人対策「問題解決コミュニケーション」」
どのような会社にも「クセモノ」は存在する。特にクセモノの傾向によっては話の切り口を変えていく必要がある。本章ではそういった人たちに対し、どのようにして接したら良いのかが詰まっている。おそらく本書の中で最も肝となるところであると思う。プロジェクトや部課を纏めていくには個性豊かな部下とのコミュニケーション、とりわけ一クセ二クセある部下に対して、プロジェクト単位で動いていくためのコミュニケーションは必須だからである。

PART5「プレイングマネジャーのためのトラブル時のFAQ」
どうしようもない時こそリーダーの役割である、と以前あったセミナー誰かが言っていた。
もう一つある、社長は平常時、単なるお飾りでしかないが、危機的な状態に陥った時に初めて手腕が問われる、という人もいた。
プレイングマネジャーもまた然りである。本章ではどのようなトラブルがあり、それをいかにして解決に導いていけばいいのかについて書かれている。

プレイングマネジャーの仕事のほとんどが客先であれ、上司・部下であれ「コミュニケーション」である。人と人との接し方によって仕事の成果も、本書のタイトルにもあるとおりプロジェクトの結果も変わってくる。