就活の新常識!学生のうちに知っておきたい会計

2011年度卒の就活もいよいよ大詰めとなっているだけに、平日には出勤しているとき、休日では勉強会に行くときにスーツを着た就活生を見かけることが多く見かける。その中では業界の話やエントリーシート、履歴書、面接の感想や企業のことについて仲間と会話していることを耳にする。しかし昨今の不況により、求人数も減少しているだけではなく、選考の基準も厳しくなっていき、卒業までに内定がでない人も昨年では数多くいる。その人たちはというと一方で卒業保留という形で再び就活を行っている人もいれば、卒業してハローワークなどで求人を探す人もいる。選り好みをしているのではという意見もあるのだが、実際にそうしていなくても就職できない人もいるということを忘れてはならない。

話がそれてしまったのでここで戻す。就活に知っておくこととして挙げられると業界のこと、会社のことなどが挙げられるが、判断材料として挙げられるのが「IR情報」がある。これは何なのかというと企業の財務諸表など会社の財務的な健康状態をみるツールとして挙げられている。しかし素人がいきなり財務諸表をみても訳のわからない勘定や金額をみて億劫になってしまう。本書は就活生のために、財務諸表などをどのように見たら良いのかについて公認会計士の視点から解き明かしている。

第1章「会計についての10の疑問」
ここでは会計にまつわる10の疑問を著者の2人が答えるという形式で説明している。私も高校・大学と会計を学んだ経験があるため、財務諸表の知識については少しは持っている。私の中で会計の財務諸表は色やキャラクターを見ているのと一緒で、この勘定科目はこの色やキャラクターだな、と連想しながら覚えていった。そのためか自分でも驚くほど早く覚えられた経験がある。
しかし数字が苦手な人は少なくないが、その人たちには決算説明会の動画を見ることを薦めている。

第2章「決算書の読み方を覚えよう」
「決算書」は4種類の財務諸表を一纏めにしたものである。「貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュ・フロー計算書」「株主資本等変動計算書」がある。それぞれ企業の財務状態や収入・支出の流れなどを見るための者であるが、本章では決算書をどのように見たら良いのか基本的なことについてかかれている。

第3章「あこがれの会社を分析してみよう」
就活生であれば、業界分析や企業分析を行うことも少なくないことである。それらをどのようにして行えばよいのかについての本も少なくなく、やり方の知らない人たちにとっては藁にもすがる思いで手に取る。本書も企業分析のためという点では例外に漏れないが、財務諸表など会計を主軸においている本はそれほど多くない。むしろ会計で過去の状態を分析しながら、経営計画書などで未来を分析したり、競合他社と比較したり、さらにはビジネスモデルを分析するなど様々な方法が紹介されている。

第4章「就職活動に役立つ会社情報を入手する」
会計の研究についてはよくわかったが、実際に企業分析をするには、企業のHPをみる、OB訪問をするなどが挙げられるが、実際にどのような情報を入手したらよいのかについてわからない人も多い。実際に日経新聞を読んだり、企業が発行するレポートを読むことは大事であるが、大多数が行っている。大きな差が付くと言えばOB訪問や企業訪問など実際に自ら足を運んで、実際に働いている社会人に聞いてみることが面接やESなどで大きな価値となるのではと自らの就職活動を振り返りながら思った。

第5章「有価証券報告書の使い方を覚えよう」
今度は有価証券報告書である。有価証券報告書も財務状況を見ることができるのだが、企業やそこで行われている事業の状況を分析することができる為、会計以上に得られる情報は多い。おそらく企業の状況を見る中でこれ以上情報が集約されているツールはないと言える。本章では有価証券報告書の中で就活性はどのように読めばよいのかについて紹介されている。財務状況に限らず、会社のことについても学ぶことができる絶好の章である。

第6章「エコと会計」
最近では企業の環境活動が著しく「環境報告書」というのを発行している会社も少なくない。私も実際に大学のゼミの中で環境報告書を見る機会があるが、その中には企業の環境保護活動(社会貢献として)、やCO2排出量などについて説明されている。ちなみに「環境会計」というのもあり、環境活動に関して貨幣や物量単位で表したものである。
ほかにもCSR(企業の社会的責任)やSRI(社会的責任投資)についても説明されている。

第7章「社会人に必要な3つの数学力」
社会人になると数字を見る機会がある。例えば自らつとめている会社の売り上げや収益の状況を始め、部課毎の売り上げ状況などが挙げられる。
社会人として必要な「数字」はというと、本章によれば「ビジネス数字」「財務会計の数字」「管理会計の数字」を挙げている。「ビジネス数字」はビジネスにおいて問題解決や説得力の助力となる数字のことを言い、管理会計はビジネスを行うに当たっての会計のこと、財務会計は最初にもあるが決算の会計である。

最後に著者が就職をするにあたりどのように自己PRをしたのかについて紹介されている。大学のとき家庭教師をした経験を日々の業務になぞらえたPRを作り見事内定を勝ち取った。大学生のうちから様々な経験をすることは大切である。しかしそれをいかにして志望動機やPRと直結できるかは自らの考え次第である。