はきものをそろえる 世界一かんたんな成功法則

「ごく当たり前なことであるが、なかなかできない」
それが一番目立つところなのが「履き物をそろえる」である。ほんの些細なことかもしれないが、侮ることができない。それを身を持って教えられたのが高校生の時、吹奏楽武に在籍した時のことである。北海道でも屈指の吹奏楽部で、中学生の頃からそこに入部することがあこがれであった。当然その高校に進学し、入部したわけであるが、そこで学んだのはいろいろとあるが、代表として本書のタイトルのことを教えられた。

「当たり前のことを当たり前にやる」

至極当然の様に思えるのだが、これを意識するとしないとでは行動に大きな違いが生まれる。本書はビジネスの根幹ともいえるモノを教えてくれるような気がした一冊である。

第一部「物語『はきものをそろえる』」
いつも遅刻をしたり、計算を間違えたりしているだめサラリーマンが江戸時代にタイムスリップし、その中で「はきものをそろえる」事など、人間が生きていくにあたって大切なことを学んでいくという物語である。本書の大半を占めるところであるが、江戸時代から生活、教育、仕事について学べるところが多く、江戸時代からどのように学ぶかと言う本はいくつもある。折しも昨今は「坂本龍馬ブーム」と言われ、そこからビジネスとしてどのような事をすべきかという本もある。
江戸時代も現代も根幹にあることは変わらないのか、日本人としての民族性のなかで普遍的なものがあるのだろうかと考えてしまう。

第二部
第一章「なぜ、『はきものをそろえる』と成功するのか」
こうしたら成功するという事を言う本の中には、自分では無理難題のことを言っている物もあれば、なかなか実践しにくいものもある。しかし本書は本の些細なことを実践することによって生き方も仕事も変わっていく事を説いている。
また吹奏楽の話であるが、こんな話がある。
ある高校がコンクールのために遠征をしていた夜、顧問の先生が隣の部屋の靴の並べ方がきれいであることに衝撃を受け、生徒たちに靴を並べるよう注意したという。ちなみに隣にいる部屋は中学生でありながら全国大会の常連校出会ったという。(「ブラバンキッズ・オデッセイ」より)
本書を手に取る時にこのことを思い出し、さらに自ら吹奏楽部に在籍をしていたときを思いだし手に取った。

第二章「小さな行動が頼もしいあなたを築いていく」
「塵も積もれば山となる」
その言葉の重みがよくわかる章に思える。本書のタイトルも「はきものをそろえる」ことを1回やっただけでは人間的に成長することは難しい。続けていくことによって成功への道が開くことができるが、1日でも怠ってしまうとまるで蟻地獄の様にせっかく登ったのに台無しになってしまう。これは「はきものをそろえる」だけではなく、どのことに関しても同じ事が言える。

ビジネスに限らず、人間が生きていくに当たって大切なことが詰まっている・・・と言いたいところであるが、「はきものをそろえる」というほんの些細な行動の中に原理が詰まっている様に思えてならない。
ビジネスにしても、人生にしても「はきものをそろえる」ことで成功への第一歩を築くことができる。本書はまさにそれを教えてくれる至高の一冊である。