1/4の奇跡

(株)オトバンク 上田様より献本御礼。
本書のタイトルにある「1/4」とはいったい何なのだろうか。それはマラリアにかかりにくい、「鎌状赤血球」を持っており、かつ何らか先天性の障害を持っている人の割合を言っている。簡単に言うと健常なひとの犠牲として、全体の4分の1に障害を持つ人があらゆるリスクを引き受けているのだという。障害を治す医療の技術は格段と進化を遂げているのだが、その一方で障害にかからないようにするという考え方も為されてきた。しかし、障害を受け取りながらもまっすぐに生きる人たちがいるということを知っていくことを知った。

本書のタイトルは、映画にもなった。その映画のモデルとなったのが山元加津子氏である。石川県で特別養護学校で教鞭を執っている。数々の障害者たちの交流の中のことを綴っている。本書のDVDには山元氏の講演が収録されている。

障害を抱えた人たちは日本でも数多くいる。その中で見えること、そして「生きること」のすばらしさを感じ取ることができたとともに、思わず涙を流してしまった。

生命科学者の柳澤桂子氏は「ジョンズ・ホプキンス事件」を取り上げながら病気の遺伝子を受け取った人たちも健常な人たちも皆同じだと言うことを説いている。

大阪大学大学院教授の四方哲也氏は進化論をもとに、能力や身体において異なる有用性について指摘している。ここでは「みんな同じ」ではなく「みんな違って〜」と言うフレーズが合っている。

UCLA大学教授の新原豊氏は病気の悲惨さは、激痛や重さではなく社会から遠ざかってしまうことが挙げられるという。話が変わってしまうが、これは障害のみならず、一度過ちを犯し前科を持ってしまったことについても同じことが言える様に思える。それらのような中で社会に順応していける社会の構築をしていく必要が私たちに課せられている。

DVDとともに本書を読んだのだが、本書は必ずDVDとともに読むことをお薦めする。本書は障害に関して知るだけではなく、様々な人たちへの感謝という思いも育むことができるからである。