マグロ船式会議ドリル

著者の斎藤様より献本御礼。
著者の処女作は「会社人生で必要な知恵はすべてマグロ船で学んだ」である。いかにも衝撃的なタイトルであることがわかる。著者は上司の命令により約1ヶ月間、マグロ船に乗った経験を持つ。その経験が後にいがみ合いとなった職場の雰囲気を活発化させることに成功した。その後会社を退職し、現在では日本唯一の「会議コンサルタント」として活躍をしている。本書は著者が経験をした数ある会議の中でよくある、会議をいかに活発化させるか、ケーススタディ形式にて解き明かしている。なお本書の内容はniftyビジネスのコラム「今日からなれるファシリテーター〜荒波を乗り越えるマグロ船会議術〜」に収録されていたものを一部改変している。

第1章「実りある会議にするための心構え」
皆さんは「会議」というと何を想像するのだろうか。様々なアイデアが飛び交う場なのか、それとも課長や部長がひたすら意見を主張するようなものか、あるいは何かしくじった社員が吊し上げられる場なのか。
会議ほど多くの時間を費やすものはない。それは人一人の時間だけではなく、参加している人全員の時間を奪っているのだから。時間を奪っているからでこそ、成果、もしくは解決への重要な手がかりを見つけることに大きな意味を持つ。
しかし、会議によって、そして参加者によって独擅場や吊し上げとなる会議も少なくない。特に前者は自分の持っている意見を押し通すことに一辺倒となり、他人の意見を執拗に批判し、嫌悪な雰囲気にさせてしまうことにもなる。
それを解消し、自ら意見の言える環境をつくること、それが会議として成り立つ第一歩である。

第2章「会議を円滑に進める基本を知る」
会議には様々なモノがあり、進捗とともに、これからどのような方針をとるかを決める「進捗会議」、ブレストなどを駆使して企画や仕事におけるアイデアを出す「アイデア会議」など、「会議」と一括りにしても様々なモノがある。
様々であっても最終地点は「会議の目的を達すること」にある。目的や目標に向けて進めていかなければ文殊の知恵のごとく人を集めても、その人たちの時間を奪ったと言うことしか残らない。

第3章「会議を円滑に進行するためのテクニック」
仕事や会議の中でも失敗や対立というのは起るのは当然である。価値観や宗教観、個性など様々な要素で異なっている人たちの集まりが会社や組織であるのだから。
その失敗や対立への対応も技術の一つとして紹介している。

第4章「会議に出没する困った人対策」
会議の中では「困った人」というのがいるという。無駄に話の長い人、相手の意見を批判するだけの人、話を脱線する人、遅刻をする人…挙げるだけでも枚挙にいとまがない。
本章ではそれぞれの対処法についている。

第5章「会議のトラブルシューティング」
会議にはトラブルはつきものである。ちょっとしたことでも会議として成り立たなくなるほどの致命的なトラブルもある。本章ではトラブル解決法もあるが、ほかにも目上の人に対してのマナーも学ぶことができる。

第6章「日常業務でも使える会議術応用テクニック」
「たかが会議、されど会議」という言葉がよくあう章である。私自身は職業柄会議に出ることが多い。その中で自分が気づかなかったことを気づかせてくれたり、要領や段取りはどのようにしたらよいのか、会議で発言したり、静観したりしている中で学べる機会が多い。会議はノウハウの宝庫といえるのかもしれない。

本書は一方的にノウハウを学ぶのではなく、あらかじめ事例をもとにしたドリル形式にて質問の後、答え合わせで会議のイロハについて説明している。まず自分の会議観を洗いざらいさらけ出してから、会議術を学ぶので本書と自らのギャップを見ることが可能であり、かつ、何をのばすべきか見えてくる。