あした・ゆたかに・なあれ―パパの休日の経済学

(株)オトバンク 上田様より献本御礼。
毎日経済のニュースが絶えない。ここ最近では「円高」が叫ばれており、政府もようやく重い腰を上げ、為替介入に踏み切った。介入は当面続けるそうだが効果は果たしてどのようにもたらすのだろうか。

それはさておき、私たちサラリーマンは「経済」のことについて、身近なものでは、給料や家計、さらには消費といった所までしか知らない人が多く、「経済」のニュースが流れてきても実感がもてないのがよくある。まともに見たり、考えたりすることができるのは休日くらいかもしれない。

本書は経済のことについて日常の会話をもとにして経済を語っていくという一冊である。しかもこれは事実にあるものであり、著者自ら体験したことをありのまま記されている。

冬「お年玉はどうして増えないの?」
「お年玉は増える」とみると毎年もらえるお年玉が増える様な印象を受けるが、「増える」と言うところを気にすると、「お年玉」を毎年貯めて、もらえる利息が増えるかどうかと言う話である。
つまり預金(貯金)利息を基にして金利の変遷、消費者物価指数、国勢、そして経済の歴史について解説とともに述べられている。
「たかが「お年玉」、されど「お年玉」」と言えるような所であった。

春「暖炉のあるお家に住みたいな」
「暖炉」と言うと北海道を思い出すが、私の実家では暖炉ではなく、「薪ストーブ」はあった。故郷である旭川市では冬の朝は氷点下20℃にまでなるため、普通の石油ストーブでは寒さをまかなうことができないほどである。
私事はさておき、家の購入は人生において大きな買い物の一つである。昔は結婚して子どもが生まれ、やがて一軒家をローンで購入し、そこで働きながら暮らすと言ったのが一般的であったが、最近では子どもがいない夫婦でも購入することが多いという。その住宅を買うためにローンを組むことが多いのだが、銀行や信用金庫などの金融機関に住宅を購入するために借金をする(もしくは融資を受ける)。それを月単位で10年以上にわたって払い続ける。しかしその中にも利息があり、借りたお金と利息を付けて支払い続けるという。金融機関の利益かとおもうが、実際は貸したお金が返ってこないこと(つまり「貸し倒れ」)を想定して利息をとると言うことであるという。

夏「海外旅行に連れてって」
最近海外旅行をする人が減少しているという。私自身海外旅行には1度しか行ったことがないが、海外旅行は行きたいという気持ちがあるかと言うとあまりない。
私情はここまでにしておいて、海外旅行をする時に必ずと言っても良いほど円をドルなど外国通貨に換金をする。この換金の中で「外国為替相場」と言うのが身近な言葉になる。外国為替は業種で、貿易、とりわけ穀物などの原料の輸入や工業製品などの輸出に大きく関わる。現状では円高傾向にあるため、輸入業にとっては安価に仕入れることができる一方、工業製品の輸出は売り上げが落ちる。本章ではそのような為替構造も書かれているのだが、印象的だったのが海外の物価指数が上がっているのに対し、日本では横ばいだったと言うことが挙げられる。

秋「お友達の引っ越しって寂しい」
引っ越しの話に絡んで「投資銀行」の話から始まる。「投資」というと一昔前は「悪」という印象があるように思える。というのはホリエモン然り、村上ファンド然り、ハゲタカファンド然り、投資に関してあまり良いニュースが無かった時代であったからである。
株や債権、信託など「投資」と一括りにしても様々なものがあるが、本章ではとりわけ「株」についてが中心である。

身近なところで経済の話をしている様に見えるが、その中身は非常に奥が深く、新聞やTVでは知り得ないような話題が盛りだくさんであった。本書は身近でありながら奥深く経済を学べる一冊と言える。