大人の算数

「大人の・・・」はある意味危険な響きの様に思える。
タイトルの感想は置いといて、かつて学校で学んだ算数の授業があるが、現在の社会において役に立つとは言えない。しかしそういう時代だからでこそ、学校で学んだときの算数や数学を解いてみると新たな発見をすることが多い。本書は「毎日小学生新聞」で連載されていたものを書き直しながら、大人のために、新たな発見を見いだすための算数の授業を展開している。

第1章「直観と計算で図形の面積を求める」
図形には様々なものがあるが、三角形や台形を簡単に解いてみるやり方を見つけるという直観や計算で解いてみると言う所である。
本章では少し難しい三角形の問題をまとめたり、一箇所にしたりと様々な方法がある。

第2章「複雑な図形を大胆に、簡単に理解する」
「複雑な図形」と言っても前章と同じように様々である。本章では階段状のような図形や三角形ができるパズルのような図形まで登場する。

第3章「図形の性質をトイレットペーパーで学ぶ」
次は三角形や四角形から離れて円柱の話に入る。トイレットペーパーの長さというとスーパーでは30mや50mなどある。本章ではトイレットペーパーを4つ並べたときの円周、縛り方によっての長さや角度についてが中心となっている。

第4章「角度の本質を「エンピツまわし」で見抜く」
何もしていないときにふと無意識にやるものの代表としてあげられるのが「エンピツ回し」である。そのエンピツ回しについて「算数」の観点で計算してみようというものである。しかしエンピツ回しとは行ってもそれを行うときの回転量ばかりではなく、あらゆる図形をエンピツ回しで計算するというものまであるという。たかが「エンピツ回し」といっても侮れないと感じた。

第5章「マッチ棒パズルで図形と数の関係を考える」
マッチ棒というと「頭の体操」など、思考の柔軟性を解くための問題でよく使う。漢字やアルファベットなどをつくることで有名であるが、本書は「算数」のことについて書かれているので、図形をつくることを本章では教えている。
本章ではマッチ棒に限らず、「ケーニッヒスベルグの橋」に関するものや一筆書きの図形についても掲載している。

第6章「モチを切り分けて図形の法則をあばく」
これまでは「平面」に関するものばかりであったが、最後は「立体」である。モチの切り分けについて体積を求めるものから、複雑な切り方による体積についてまである。

図形の問題が多いものの、これまで学校にて「公式」でもって解いてきた私たちにとっては、思考の幅が広げられる、そして苦労して図形を説いていった懐かしさに浸ることのできる一冊と言える。