思惟の道としての現象学 超越論的媒体性と哲学の新たな方向

本書は哲学の中でも「現象学」という分野を確立させた、エトムント・フッサールが生誕150周年を記念し、新たに「現象学」というのを見直すということから本書は上梓された。

そもそも「現象学」とは何なのだろうか、というところに入っていくが、もともと哲学は私たち、もしくは物体の「存在」の意義を問うことが多い中で現在起こっていること、いわば「現象」の観点から読み解いていく分野のことを示している。しかしその「現象」は哲学者それぞれ観点が違っており、「現象学」を学んでいる、もしくは研究をしている学者の分ほどある。

フッサールが出てくる以前に、「現象学」はあった。最近話題となっているヘーゲルが「精神現象学」というのを1807年に出版されたことから「現象学」という言葉は使われ始めた。しかし「現象学」そのものが多用され始めたのはフッサールの時代である。

そしてそのフッサールの「現象学」を発展させ「存在論」を導き出した哲学者がいる。ハイデッガーである。「ニーチェ」や「存在と時間」といった作品で有名である。

本書はフッサールやハイデッガーにまつわる論文、さらに公では明かされていない論文も取り上げられており、フッサールにまつわる研究が深部にまでいたっている。フッサールに関してそれなりに呼んでいる人であれば新たな発見ができる一冊であるが、哲学の初心者は最初に本書を読むことよりも、入門書を読んでから、本書に入ることをお勧めする。