もっと知りたい上方文化―過去と現在を訪ねる

上方文化として代表的な物を挙げるとしたら、落語と歌舞伎、さらには宝塚や浄瑠璃などがある。他にも「文化」という括りで行くと「茶の湯」も古都・京都から来ており、漫才も大阪流の物は今でも衰えを知らない。

さて最初に挙げた落語や歌舞伎では代表的な人物として、落語では三代目桂米朝、歌舞伎では四代目坂田藤十郎がいる。とりわけ坂田藤十郎は江戸の市川團十郎と並んでの大名席である。市川團十郎は「荒事の名手」と呼ばれ、坂田藤十郎は「和事の名手」と言われている。

本書はその上方文化の今昔について記された一冊であるが、一時期廃れそうになった危機があった。とりわけ上方落語は漫才の勃興により、その煽りを受け上方落語は危機に立たされた。その中で復興に尽力をしたのは五代目笑福亭松鶴を始め六代目笑福亭松鶴・三代目桂米朝・五代目桂文枝・三代目桂春團治の四天王である。

私自身、落語や歌舞伎と言った物が好きなので、と言う理由で手に取ったのだが、江戸とは違う芸の深さと広さ、さらには文化の凄さを感じさせた一冊である。