本書の視点は結構面白い。「スポーツと政治」と考えるとオリンピックやワールドカップなどの大会と国の政治との関連性やしがらみについて書かれる本が多かったが、本書は副題にあるように「英国法」、つまり競技と「法律」の比較についての考察を行っている。
本書でも取り上げられているが馬術の競技と動物虐待法、マラソンや競歩などの行動競技と「公道法」が例に引き出すことができる。
後者の場合は国を挙げて行われたり、事前に関係者の許可を得て行われる。前もって告知をしておき、交通整理も行われるので法的にはあまり問題はない。ちなみに本書で取り上げられているのはマラソンではなく、ストリートで行われるサッカーやクリケットについてである。
一方前者の場合は、本書が取り上げられている十九世紀から現在まで引きずっているものであり、未だに解決とは言えない状況が続いている。さらに法律だけではなく、「動物愛護」の倫理もからんでいるため複雑なものが絡んでいるようにも見える。
スポーツと法律を考察するのは、スポーツと政治を語るのと同じように難しい。しかし英国のスポーツと法律を焦点にしているが、スポーツと法律は切っても切れない関係であることが本書で証明づけたのかもしれない。
コメント