物語は児童失踪事件から10年経った時から始まる。この事件とこの事件の犯人、そして「日本犯罪史上もっとも有名な被害者」の女性が交錯した作品となっている。
ミステリー小説の中でも、本書ほど戦慄の走った作品はない。むしろミステリーであり、推理モノであり、かつ所々ニーチェの引用も散りばめられている。難解なようでいて、謎を含みながらも描かれている。
さらに魅力的だったのは最後。おおよその推理小説やミステリーは解決してハッピーエンドに終わるパターンが多いが、本書はそれとは大きく違っており、「続編」があるのではないかというような終わり方をしている。まだまだ事件が起こる、恐怖はこれからだ、というような終わらせ方は著者の作品をもっと読みたくなる感情を引き立たせてくれる。
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