こちらあみ子

本書は第26回太宰治賞を受賞した作品を含めた短編集である。ちなみに賞を受賞した作品名はそれではなく「あたらしい娘」というタイトルだった。

個人的にタイトルと内容を照らし合わせると改題したあとの「こちらあみ子」の方がしっくりと来る。理由は簡単で、主人公が「あみ子」であるだけに、タイトルと内容にギャップもなく読むことができる。

さて、内容はと言うと、あみ子の小学校〜中学校の間の不思議な体験を描いている。舞台はどこなのだかはわからないが、方言からして広島周辺のような気もしてならない。会話も広島弁が織り込まれているためである。

あみ子は普通の子どもとは少し違っている、言葉を換えると「少しずれている」と言った方が正しいのかもしれないが、その「ずれ」があみ子の不思議な体験となっていったように思う。

他にも、「ピクニック」という作品も取り上げられている。