横綱の品格

今年の始め、横綱白鵬が連勝を重ね、双葉山の記録した69連勝を更新するのではないか、と囁かれ始めた。しかし記録は稀勢の里に敗れ連勝は63でストップしてしまった。69連勝の壁の厚さというのを感じさせた印象だった。その双葉山も前人未踏の70連勝にならなかったとき、師と仰ぐ安岡正篤に打電した、「未だ木鶏たりえず」も名言としてあげられている。

本書は横綱としてどうあるべきかを説いているように見えるタイトルであるが、むしろ双葉山自身の自伝という印象がある。しかし自らの人生を回顧している文章を見ると、八百長問題にある今の角界、そして力士たちはどうあるべきかを見せてくれているようだった。まるで「俺の背中を見ろ」と言うように。

ちょうど本書がでたときは朝青龍問題が起こっていた時期だけに「横綱の品格」そのものが問われたのは言うまでもないのだが、本書のタイトルはその波に乗りたいという気持ちが編集の段階で表れているように見える。復刻元が「相撲求道録」であるため、横綱としての相撲の求め方の模範を示しているのかもしれないが。伝説の大横綱と言われる双葉山だからこう言える、という思惑なのだろうかと考えてしまう。

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