私たちの世代は「嫌消費世代」と呼ばれているが、少し角度を変えて考えてみると、消費志向が厳しく高くなっている何よりの証拠といっても過言ではない。
「モノを大量に、かつ安価に作れば売れる」という考え方が変わり、高価でも自らの主観で「ぐっとくる」ものが売れている。
本書はその「ぐっとくる」ような商品、サービスがなぜ「選ばれる」のか、「法則」という形にして表している。
1章「日本人が出した答え」
日本人の消費志向は世代とともに変わりつつある。人によっては「進化」や「退化」という言葉で形容するかもしれないが。
日本の消費指数が減少していったり、増加していったりしていることで日本の消費は悪化した、もしくは改善したと一喜一憂しているのは余りに滑稽である。
日本人は「買わなくなった」という声もあるのだが、消費者一人一人の消費志向は違っているが、最近はそれが顕著になっているだけである。
2章「顧客の新事実」
では顧客の購買意欲はどのように変わっていったのだろうか。単純に書くと、高度経済成長期には「安さ」や「量の多さ」というのが重点に置かれていた。しかし、バブル景気前後になると、安価志向から、より高級に、かつより個性的になっていった。「ブランド」が流行してきたのもそのためである。
売り手はよく「買い手を意識して」というような言葉を使っているようだが、これも使いようの一つである。
「万人に受けるもの」は決してあり得ないことであり、ニッチなものでも「ターゲット」を絞らなければ誰も振り向かない。
3章「イメージではなく、コトバで伝える」
「口コミ」は販売促進や広告でも使われる機会はある。しかしそれは、人と人との会話の中で出てきた話題でしかなく、具体性にも欠けるものがあるのだという。
顧客に伝える方法は相手にイメージさせるよりも「コトバ」を使って伝えることによってブランドとなり、顧客も自然についていくという。「キャッチコピー」もその一つであり、コトバ一つで販売促進の道具にも使える。ましてや「消費」に関してシビアになっている今だからでこそ、コトバを使って「ぐっとくる」ようなモノを生み出すことこそ、日本人でしかできない日本人に対する購買力強化の要素になるのかもしれない。
マーケティングや商品の品質とともに、私たちの消費観も進化している。その中で商品そのものの魅力だけではなく、付加価値をつける重要性も問われてきている今、「ぐっとくる」ものが大きな要素となっていることがよくわかる。本書はそのことを教えてくれる。
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