本書は短編集であるが、章立てがすべて海の生き物である。鯛は鯛でも「花鯛」はどのような鯛なのか。
花鯛の本当の名前は「チダイ」と呼ばれており、それを関東地方では「花鯛」と呼ばれている。血の色の様な鰓(えら)をもっていることから「チダイ」と名付けられているが、関東地方では桜や梅の花のようにきれいなことから「花鯛」と名付けられたという。主に房総半島で漁れる魚である。
本書のテーマとしてあげるとするならば「漁」と「家族愛」を挙げる。人生に躓いた男がチャンスを狙って海に出るところからストーリーは始まる。
魚の知識も学ぶことができるが、それ以上に家族愛の色が強い一冊である。魚釣りを通じて家族の絆が強まっていくことに感動を覚えた。あと余談だが本書を読むとなぜか刺身も食べたくなってしまう感情にも駆られてしまった。
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