感動3.0 自分らしさのつくり方

本や音楽、美術や仕事など、様々な場で「感動」を味わうことができる。本書はその「感動」をさらに進化させたものであるが、それはいったいどのようなものなのだろうか。「感動3.0」とつくのだから「感動1.0」や「感動2.0」もある。それはいったいどのようなものなのかについても知る必要がある。

第1幕「信頼と絆の時代の関係性革命」
「1.0」「2.0」「3.0」と見てみると、フィリップ・コトラーのマーケティングやWebでも同じものが使われている。むしろマーケティングやWebがよく使われる。では「感動」ではどのようにして分けられているのか。

・「感動1.0」アプローチによる感動の初期段階。一方的に受ける
・「感動2.0」感動から新しいビジネスの接点をつなげるムーブメント
・「感動3.0」ビジネスの場で「共鳴」するような影響力で人を動かす

一方的なものから接点を持ち、そして「共鳴」することによって「感動」を大きな影響力とさせ、人を動かすこと。マーケティングやWebも進化したように、感動もまた進化をすると言うのである。

第2幕「ブランドウェイ 自分らしさのつくり方」
「感動3.0」のキーワードは「共鳴」にある。ではその「共鳴」とはいったい何なのか、どのように作ればよいのかを本章にて示している。
ここで著者の話に入るが、著者はビジネスマンの傍ら、舞台俳優として活動を津受けている。そのことから自分を「つくる」、「感動」するという事を見いだしていった。
具体的にどのようにやれば…という方法はそれほど記載していないのだが、「表現力」や「輝き」などが挙げられる。

第3幕「感動3.0の実践 ブランドを輝かせるハートスキル」
ビジネス書には時間管理や文書など「やりがい」や「形」のあるスキルは存在するが、「感動」ほど実感しにくいスキルは少ない。話や仕事においても「緩急」、根幹となる「言葉」、そのことによって顧客を「喜ばせ」「感動させる」、感動によって「共鳴」が起き、新たな購買につながる。

「安ければ売れる」「場数を踏めば売れる」という考えが崩れている今、仕事という考えは大きく変わりつつある。その中で本書は「共鳴」で持って顧客に訴える。一方的ではなく顧客の側にも仕事の舞台に立ってもらい、ともに感動を分かち合う。著者の言う「感動3.0」の在り方はそこにある。小手先の手法も様々あるのだが、仕事は演劇や音楽に喩えられることも考えると、仕事こそ「感動」を作れるものなのかもしれない、と本書を読んで思った。