「愛とは何か?」
本書を読んでそのことを私の胸に突きつけられた。親子愛、歪んだ愛、それぞれ形の違った「愛」が交錯していた。14歳という心的に「思春期」と呼ばれている時期に母が亡くなった男と、病に冒された母を抱える男の関わりの物語である。友情の物語というように見えるが最初に「歪んだ愛」と言ったような関係を持った両者。
「様々な感情が交錯している」と言う一言では片付けきれないほど数多くの感情が飛び交っているせいか、中身はとてつもなく濃かった。感情の交錯の中で、それぞれの「エゴイズム」にも気づかされると言うことから、著者は「エゴイスト」というタイトルをつけたのだろう。
文体の一つ一つから一つの感情が出るのは普通の小説であるが、本書は違う。本書は文体一つで二つも三つもの感情が出ている気がした。感動と言うよりも「愛」「親」「エゴ」など色々なことについて「考えさせられる」一冊だった。それらに悩み出した時に是非何度も読んでみたい。
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