著者の大森様より献本御礼。
個人で事業を行っている人にとって最も重要でありながら、もっとも回避したいことが「資金繰り」であり「取引金融機関との折衝」であろう。
本書は個人事業主がいかにして金融機関とつきあっていけばよいのか、元信金マンの観点からの方法を伝授している。
1章「個人事業主が知っておくべき 金融機関と借入の基礎知識」
銀行はどのような業務を行っているのだろうか、と金融関係者以外で答えられる人は少ない。せいぜい答えられるものでいうと預金の預け入れ・引き出しなどであろう。
しかしそれは業務の氷山の一角に過ぎず、ほかにも団体や企業への融資なども挙げられる。
本章ではその中でも個人事業主が銀行に融資を受けるにはどうしたらよいのかという、その概要について書かれている。
2章「個人事業主が知っておくべき 金融機関の選び方」
ここから少し専門的な所に入る。本章では融資を受ける銀行の選び方を始め、銀行の種類、また借入金の種類について紹介されている。
借入金に関しては簿記の勘定科目でも使われる言葉もあるが、具体的にどのようなものかも分かりやすく説明さあれているため、簿記に疎い方でもすんなりわかるように書かれている。
3章「こうすれば、お金は借りられる! あなたが説明すべきこと・つくるべき書類」
基礎知識を知ったところでいよいよ具体的にどのようにしたら融資を受けられるのか、という方法論に入っていく。事業者からの目からしてどのような所を見るのか、について余すところなく説明されている。
4章「こうすれば、お金は借りられる! 具体的な信用のつくり方、ちょっとしたコツ」
ここでは融資を受ける確率をより確実にするためのコツを「人的信用」と「地域戦略」に分けて紹介している。
「人的信用」は地域、メガバンク問わず人的な信用を得るためのコツを紹介しており、「地域戦略」はどちらかというと地方銀行や信金、メガバンクでも地域の支店単位で信用を得るためのコツが取り上げられている。
5章「こんな場合どうする? お金を借りるときに注意したい16のポイント」
4章までは方法について書かれたのだが本章では融資を受けるにあたっての注意点を取り上げている。借り入れをするタイミングからネックとなる「担保」や「抵当」に関して取り上げられている。
6章「これで銀行員対策はバッチリ! 銀行員の意外な視点とその生態」
「敵を知り己れを知らば、百戦して危うからず」という言葉があるとおり、銀行員を相手をするのにも、銀行員を知ることが大事である。元信金マンだからでこそ知る銀行員の素顔を色々と語られているため、対銀行員対策はより万全となるだけではなく、銀行、ひいては銀行員の信用を得る材料にもなる。
7章「万が一に備えよう 返済が苦しくなったときの対処法」
いざ融資を受けられたとはいえ返済義務を背負うことになるため、融資は銀行との関係の「スタート」と位置づけられる。
その中で返済が滞りざるを得なくなってしまう事もある。これでは銀行員との関係も悪くなってしまう可能性もある。本章ではそういったピンチをいかに軽減できるのかという回避策を紹介している。安定的に返済できるのであれば本章は必要ないかもしれないが、「いざというとき」に頭の片隅に入れておくと、そういった状況でも落ち着いて対処をすることができる。
私は現在会社員であり、個人事業主ではない。だが、もし個人事業主になるとしたらどうしたらよいのか、という予行演習も必要になってくる。そういったときに本書は個人事業主になったときには大いに役に立つ。
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